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ドルフィン・マン~ジャック・マイヨール、蒼く深い海へのKUBOのレビュー・感想・評価

3.3
かつてリュック・ベッソンの出世作『グラン・ブルー』の主人公として一躍注目されたフリーダイビングの世界チャンピオン、ジャック・マイヨールの、これはドキュメンタリー。

『グラン・ブルー』を見ている人には(というより、見てない人はこれも見ないだろうけど)、ジャック・マイヨールって本当はこんな人なのねって作品なんだけど、

海を愛する、イルカを愛する自由人っていう大筋は『グラン・ブルー』で見た印象と驚くほどいっしょ。それだけ『グラン・ブルー』がよく出来ていたってことだろうけど、

違うところは無類の女好きってところ? 『グラン・ブルー』では女子の方から好かれても自分はもっぱら海ばかり、みたいな感じだったけど、本当はかなり自分から女の子を追っかけてたみたい。

『グラン・ブルー』見てても思ったけど、このジャック・マイヨールって男には生活感がない。何やって食ってるのか? なんで世界を周って海ばかり潜ってられるのか? 有名人の運転手をしたり、ロブスター漁をしたりとか若干の職歴は示されるが、このドキュメンタリーでもその点はそれほど描かれない。

時代的にもヒッピーなんかが流行った時代で、ヨガの呼吸法を取り入れたり、日本にもよく来て座禅を組んだり、アジア的な文化にも傾倒していたようだ。ドキュメンタリーには日本人の友人たちも出演し、在りし日のジャックを語る。

冒頭びっくりしたのは、昔の日本の海人さんは素っ裸で潜ってたこと。下半身も含めて一糸纏わぬ姿で潜ってたなんて知らなかった。

『グラン・ブルー』ではジャン・レノが演じていたエンゾも出てくるよ。

ただ『グラン・ブルー』の成功がジャック・マイヨールをおかしくした、というのは皮肉だ。大スターのような注目を集める一方で、「自分が出演するべきだった」などと発言していたらしい。

悲しいのは最後が自宅での自殺だったこと。あの『グラン・ブルー』のヒーローが晩年寂しい人生を送ってひとり寂しく世を去ったというのは悲しいな〜。

ナレーションは『グラン・ブルー』でジャック・マイヨール役を演じたジャン=マルク・バール。『グラン・ブルー』が好きだった人は見て損はない。
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