ゴリラ

詩人の恋のゴリラのレビュー・感想・評価

詩人の恋(2017年製作の映画)
3.5
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 あらすじ
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月収3万円のうだつの上がらない詩人テッキは妻に支えられながら生活をしていた
ある日、新しく開業したドーナツ屋である美青年と出会う…

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 レビュー
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久々のヤン・イクチュン映画
単独主演という意味ではもしかして『息もできない』以来?

■ニュー・イクチュン■

今まで観てきた
アイツ殴りに・行くチュンでも
アイツ監視しに・行くチュンでも
マドンナに会いに・行くチュンでもない

メガネともっさい頭にポッコリお腹

妊活不振で、精子検査に・行くチュン
無我夢中でドーナツ買いに・行くチュン
美青年に惚れ込み世話しに・行くチュン

今まで観てきたヤンヤン・イクチュンとはまるで別人のオドオド・イクチュンが新鮮

■役割と世間体■

生活を支える嫁には頭が上がらず、妊活の為精子出すマシーンと化すテッキ
なかなか嫁が妊娠しない為、病院に行けば乏精子症と診断される
本業の詩人活動もスランプ続き

そんな彼の前に現れた美青年セユン

彼と出会ってからテッキの中の何かが目覚める
それが、父性なのか、同情なのか、恋愛感情なのか、或いはそれら全てなのか分からない…

ただ、それは秘めておかなければならない感情

結婚し恋愛感情は徐々に薄れ、その分旦那として、父親としての“役割”ばかりが膨れ上がる

“一家の大黒柱として稼ぎ頭になる”
“ある一定の年齢を越えたら子供を作る”
“常識的な恋愛感情をもつ”

そんな世間体からも逃れてることはできずに、感情は小さく小さく奥へと追いやられて行く

役割の為、世間体の為圧し殺した感情が
ふとした瞬間に溢れ出る

簡単に噂が広まってしまうような息苦しい閉鎖的な島

せめて大切な人だけでも解放してやりたい

■大人になるということ■

社会に求められる役割を果たし、世間体を気にし、社会に適応する能力を身に付けることが“大人になる”ということ

言うなればそれは体を守る筋肉を付けるようなもの

ただ、その下には脆くて柔な感情という内臓が潜んでいる

芸術は何にも縛られずそれを解放する場

テッキにとってはそれは詩であり
セユンは詩そのものなのかもと思った

■まとめ■

前半のオフビートな笑い、テンポ感、会話のディテールなど要所要所に女流監督らしい細やかさを感じた

嫁役チョン・ヘジンのリアリティーのある演技、美青年役チョン・ガラムの説得力も良かった

う~ん、それにしても旨そうなニューヨークドーナツだ…
ミスドにドーナツ買いに・行くチュン!!