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詩人の恋のrosechocolatのレビュー・感想・評価

詩人の恋(2017年製作の映画)
3.9
身の回りの生活に満足していない、物足りないものを感じている詩人に出会いがあった。それは果たして「恋」と呼べるものなのか。「同情」とも「憐憫」とも「家族愛」とも違う感情に戸惑いながらも、詩人は青年との「恋」に突き進んで行く。

誰しも分かり得ない悲しみ。それを人はどう昇華していけば良いのだろう。詩人も、詩人の妻も、青年も、それぞれが悲しみを抱えて生きる。帰結する場所はあれども、その悲しみは癒えることはない。どうにもしようがない想いを詩に乗せていく、それでもなお吹き出してくる感情とどう付き合っていくのか。それまで蓋をしていたものが、例えば赤子の泣き声を絆されたように噴出する。それでもいい、という許容が本作にはある。

韓国映画らしい部分、そして韓国らしからぬ部分が混ざり合い、静かに進んでいく。ヤン・イクチュンの役作りも、それまでの彼にはないものなので非常に興味深い。
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