だい

大仏⁺のだいのレビュー・感想・評価

大仏⁺(2017年製作の映画)
3.7
近年のアジア映画の潮流通りの作品!
あれよ、あれ。
貧富の差のいかんともしがたい感じを淡々と描く系。

「下女」から続いてきた、
貧富の差を物理的位置=上下階で描くやり方ではなく、
それぞれから見える世界の色で表現するのは良い。
あなたが見える世界の色はどっちですか?
って。


超シュールでシニカルな笑いをちょこちょこ差し挟んでくるので、
シュールが好きかどうかで見る人を相当選ぶやつ。
ぼくはシュール好きなのでいちいちツボでした!
たまに下品なネタがあるのだけが難点ですが…

でも、
そういうブラックユーモアでマスキングはしてるけど、
本質はそっちじゃなくて、
がっちがちの社会派ドラマですからね!

「3食食べれるだけでいいよ」
という社会の最下層の哀れな実態を、
暗く捉えず、喜劇っぽく描く。
じめっとしない虚無感。


最初の葬列の楽団と、
それに続く廃品回収。
あの2シーンだけでドゥーツァイという人間が、
要領が悪くてコミュニティの中でも最も蔑まれてる。
という立ち位置をしっかり提示しきるのはすごい脚本力。


シャカという、
コミュニティのヒエラルキーの中にいない存在に仮託した、
人間とはどういうものかという問い。

そして下される仏罰。


正義とは、
今日の糧のない人間には意味がないんだって。

そう。
だから、
いまや中流でさえ今日とは言わないまでも少し先の糧を心配せざるを得ない社会で、
そんな貧富の差を放置したまま、
マイノリティがー!
ポリコレがー!
とか言ったって支持得られるわけがないのよ。

「これ以上俺らの飯の取り分を減らせっていうのか!」


終わり方も鳥肌が立つ感じで良かった。
因果応報。
なのである。
だい

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