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大仏⁺のmarcoのレビュー・感想・評価

大仏⁺(2017年製作の映画)
4.0
ドキュメンタリーでキャリアを重ねてきたホアン・シンヤオ監督の短編「大佛」を長編にしたという意味で「大仏+」というタイトルが付けられた、コメディサスペンスヒューマンドラマ(?)。台北映画祭グランプリ受賞作。

大仏を作る会社で夜間警備員として働いているツァイプーとその同僚は暇つぶしで社長の車載カメラを覗くことにする。そこには社長の日常だけでなく、衝撃の映像が映っていて…

ツァイプー達が過ごす台湾の底辺の人達がほぼ全て白黒で映る一方、富裕層である社長の車載カメラの映像がカラーなのが印象的。神々しい大仏と対比される人間の滑稽な姿。
全編に渡って監督がシーンや登場人物の心情をナレーションで説明することで、観客に感情移入させず、あくまで底辺の日常を客観的に観るように仕向けられる。
ギャグ多めでセンスもよくて、会場中に笑いが起きていた。中盤のテンポ感に比べ終わり方に、観た後は微妙かと思ってたけど、考えれば考えるほど計算されている部分が多くて面白い作品だと思うし、白黒とカラーの併用、ナレーションやセリフで「今映画を観てるよ」と常に思わせる技が前衛的で上手い。




ラストの大仏が鳴らす轟音は底辺に目を向けられていない我々への怒りと悲しみか?、それとも中には…
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