てるる

怪怪怪怪物!のてるるのレビュー・感想・評価

怪怪怪怪物!(2017年製作の映画)
4.2
ヒューマントラストシネマ渋谷で開催されてたシッチェス映画祭2018作品を今更レビュー。
ちょいうろ覚え。

6本中3本観たけど、その中では断トツで面白かった。
いや、面白いというのが不謹慎と言えるような内容だけど、とにかく惹き込まれる。

邦画リメイクもされた台湾映画「あの頃君を追いかけた」の監督が手がけるホラー映画。
正直に言うと、「あの頃~」が物凄く嫌いな映画なのだけど、青春映画と呼ぶにはあまりにも残酷なこの映画とのギャップには驚かされた。

台湾映画といえば、キョンシー映画の産地なので、ホラー映画の下地は出来てるといえば出来ていた訳で、そこに現代の若者達が抱える鬱屈とした闇を混ぜ込んだらこうなるかなと。

ただ、それにしても良心の欠片もない不良どもの所業には反吐が出る。
主人公も主人公で、不良とは違った意味でクズ。
人間よりも怪物のほうが姉妹愛?があってステキに見えてくるくらい。
それは最後の最後まで徹頭徹尾貫かれてるのは凄い。

そんな胸糞映画だけど、ところどころ挟み込まれるコメディシーンのおかげである程度緩和されてる。
「霊幻道士」シリーズなんかもそうだけど、不気味なシーンとコメディシーンの両立は台湾映画の得意とするところ。
その系譜はきちんと受け継いでるんだなー。

そしてところどころぶっ込まれる日本文化。
今回は中盤で流れるYEN TOWN BANDのマイウェイが特に印象的。
あんな大虐殺シーンで流すとはなかなかのセンス。

ラストは「告白」ぽさも感じさせつつ、エンドロールのイジメに関するロック調の曲で締める。
観終わった後にドッと疲れが出るけど、それだけ見応えのある作品だった。

あ、でもやっぱ「新・桃太郎」を超える台湾映画はまだ無い。
てるる

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