しんご

SUNNY 強い気持ち・強い愛のしんごのレビュー・感想・評価

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)
3.8
新作が公開される度に劇場に走る程好きな大根仁監督が今回描くのは「友情」と「青春」。ややもすると直球過ぎて恥ずかしくなるテーマとベタなストーリーなのに要所要所で涙が零れてしまったのは、きっとこういう時期から自分が遠のいてしまったからなんだろう。

「年齢の割に若いね」というお世辞に少し嬉しくなるのはもう既に自分が若くない証拠というか、「若さ」が当たり前の状態じゃないから。「青春」についてもそうで、青春真っ盛りの時は何も気づかなくて後になって「あれが青春だったのかな?」とぼんやり思うもの。

でも、青春は「あの頃が一番よかった」と浸るための道具でなく今を生きる原動力なんだと本作が教えてくれる。かつて青春を謳歌した仲良しグループ「SUNNY」のリーダー格であった芹香のガンをきっかけに動き出す面々はそれぞれに年齢ならではの苦悩や葛藤を抱えているが、かつての「青春」が彼女らを未来へと前進させていく。そんなメンツの心情の移り変わりを高校時代と現在を交互にスイッチして表現する演出はとても好きだった。

相変わらずリリー・フランキーは出番少ないのに美味しい所持っていくし、芹香役の板谷由夏さんはやっぱ演技上手い。だけど、個人的には奈々役の池田エライザのあの影のある色気がとても素敵だった。何で女子高生が屋台のおでん屋に直行するんだよというツッコミ所はあったけども笑、あのシーンの池田さんと広瀬すずのやり取りは好きだった。ちなみに、屋台の店主は「深夜食堂」の忠さん役でお馴染みの不破万作さん。いい芝居してたね。

劇中を彩る90年代の名曲はどれも素敵だったけれど改めて「SWEET 19 BLUES」が最高の曲だと再認識。こんな素敵な曲を作った小室さん、歌った安室ちゃんが両方引退したのは寂しいし、そんな時期に本作が公開されたのも感慨深い。
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