ベルサイユ製麺

SUNNY 強い気持ち・強い愛のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)
3.1
オリジナルがもう大好きでして、スコアをつけるなら☆4.5位盛っていきたいと思っとります。
もうね、とにかく泣けるんすよ!自分の留守中に鑑賞した知人Aは帰宅したら顔面を涙と鼻水などでべちょべちょにしてましたし、知人Bは「自分とは性別を含めて一切関係無いのに泣けてしょうがない。寧ろ楽しい場面で泣けるのが不思議」と申しており、甚く共感した物です。…そう!悲しいとか感動したとか、そんな生っちょろい涙じゃ無いんですよ!…説明なんて出来ねぇよ!(以上、全てオリジナル版の感想)

それの日本語カバーがコレです。カバード・バイ・大根仁…。


オリジナルのストーリーをほぼなぞっている。


はぁ…。
いや、つまらなくは無いけど…。これ以上を求めるのは酷というものか?
お話はマジでオリジナルとほぼ同じ。なのに正直全く心が動かなかったよ。涙は出なくて、代わりにサブイボが出た…。
なんかねぇ、やっぱり気持ち悪いんですよね、大根作品。鑑賞し始めた時、“サニーってこんなダサい映画だっけ?”って思ったんですけど、直ぐにこれは確信犯的にやってるんだな、と思い直しました。…そうっすよね。”90年代、サイコーだった!”って話してんのに、映画のフォーマットを当時のトレンディドラマに寄せない手は無いですよね。“最新の語り口なんかより皆さんこの方が観やすいでしょ?”ってなもんですよね。とても的確だと思います。そして、その的確な“大衆の見縊り様”が気持ち悪いんだと思いますよ…。
自分にしてみると『サニー』オリジナルに感じた心地良さって、始終コメディっぽいトーンとテンポで有るにも関わらず、日常の隙間から俄かに”終わり”の予感が立ち昇ぼり、されど進むしか無い!若かった時も、若く無い今も…  っていう、切なさと諦めと踠きがないまぜになって迫ってきて、そして通り過ぎ、強制的に過去になってしまう様な遣る瀬無い雰囲気で、しかしそれを笑いながら受け入れる態度こそをクールだと感じてたのだと思うんですよね。マジ悪文酷いですよね。
で、大根版…。めっちゃくちゃにウェット!「ほら、泣け」って感じに思えちゃったっすよ。オリジナルに有った難病モノに対するセルフツッコミみたいなチャーミングさとか全然無くて、たんに作業としてコピーして、日本の40代向けにアレンジして、要望に応じてメランコリックさをトッピングしてるみたいな…

…それが普通か。オッケーです。
ところで、当時、自分は当然コギャルでは無くて、チーマーどころかミスター・ロンリーで、TKサウンドに馴染みは無くてニューキーパイクスやコールター・オブ・ザ・ディーパーズ、そしてフィッシュマンズ!を聴きつつも卓球さんのDJプレイにぶっ飛ばされて以降、暗くて深いテクノ道に傾倒していく位のタイミングだったので、この作品の描く90年代には全く思い入れは無くて(シスコ村の階段だけグッと来たけど)、寧ろ観た事の無いはずのオリジナル版のミッド80’sの韓国の情景の方に何故か郷愁を覚えてしまったワケですが、では、日本の90〜00年代の渋谷のテクノシーンや裏原界隈を舞台にした青春物にアレンジしてたらサイコーだったかと言えばそんなワケ無いね。あの暗黒の過去に目を向けるなんて御勘弁被ります。
どんなに状況が悪くても、嘘偽り無く愛したいものに全力で愛を注げる今こそが最高なのだ。