ノラネコの呑んで観るシネマ

リズと青い鳥のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

リズと青い鳥(2018年製作の映画)
4.8
うわぁ、ちょっと何度か鳥肌が立った。
山田尚子の進化が止まらない。
吹奏楽部に属する二人の少女の成長を描く、ごく地味な話なんだけど、何気にもの凄く高度なことをサラッとやってしまっている。
「響け!ユーフォニアム」のスピンオフだが、独立した話なのでTVは観ていなくても全く無問題。
快活で誰とも友人になれる希美と、人付き合いが苦手で、希美以外の親友がいないみぞれ。
卒業を控え、どうしても希美と離れたくないみぞれに課されたコンクール課題曲は、独りぼっちの少女と友だちの青い鳥との別れを描く「リズと青い鳥」という訳。
みぞれは、せっかく手に入れた青い鳥を手放すリズの気持ちがどうしても理解できない。
楽曲の元になった絵本の物語と、お互いをリズと青い鳥に当てはめるみぞれと希美の葛藤が並行して描かれるのだが、キャラクターの芝居の驚くべき繊細さは、もう圧倒的と言っていい。
写実的だが、アニメーションならではの映像表現と、画とシンクロした綿密な音響演出が、彼女らの心象風景をさらに細かく描き出す。
希美とみぞれが歩いてるだけでも、伝わってくるものがあるんだよなあ。
思春期の普遍的な葛藤を、リリカルな心象劇として昇華した必見の傑作だ!
ブログ記事:
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