ぶみ

あの頃、君を追いかけたのぶみのレビュー・感想・評価

あの頃、君を追いかけた(2018年製作の映画)
4.0
幼稚ってあいつを叱る君は、とても綺麗だった。

長谷川康夫監督、山田裕貴、齋藤飛鳥主演による青春ドラマで、ギデンズ・コー監督、クー・チェンドン、ミシェル・チェン主演の2013年公開、台湾製作による同名映画のリメイク。
主人公等高校生の十年間を描く。
オリジナルは鑑賞済み。
舞台を台湾から日本に移しているものの、内容はフルリメイクと言っても過言ではないほど、オリジナル版を踏襲。
流石に、オリジナルでは多かった下ネタが控えめとなっているが、山田演じる主人公が何故か家では裸で過ごすという設定を始め、同じような言い回しやカット割が多く、とにかくオリジナルに沿った形の日本版を作ろうというスタッフ陣の意気込みがひしひしと感じられる。
そんな中でも山田、齋藤、友人役を演じた松本穂香を始め、若手俳優陣が生き生きと青春時代を演じていたのは好印象であり、とりわけ山田がふと見せる仕草や表情が素晴らしく、同性でも引き込まれてしまい、いずれは日本を代表する俳優になるのではないだろうかと思わせてくれるもの。
物語は、これまたオリジナル同様、青春時代特有の瑞々しさや甘酸っぱさ、痛みが見事に表現されているとともに、青春ドラマにありがちな、あざとさや、わざとらしさが感じられなかったのも特筆すべき点。
反面、オリジナルを知らないと、設定が謎だったり、面白さが半減してしまうのは残念なところ。
誰もが心に持つ「あの頃」を呼び起こされ、十年という歳月を経て大人の階段を登ってきた主人公等の姿が眩しくも切なくもあり、青春映画のベンチマークとして位置付けられてもおかしくない良作。

男子のシャツの背中に点々と青いシミがつく。
振り向いて、一瞬の笑顔に何年も魂を奪われるとは。

〜あの頃、君を追いかけた。〜
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