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映画の妖精 フィルとムーのくりふのレビュー・感想・評価

映画の妖精 フィルとムー(2017年製作の映画)
3.0
【もどかしい夢】

クレイアニメの短編。U-NEXTにて。何だかモヤッとした印象だったが、制作経緯を知ったら納得した。

後進国の子供たちに、移動映画館で映画を届けるNPO法人World Theater Projectの活動は、たぶん初めて知った。彼らの活動に共鳴した斎藤工ほかのメンバーが、自由に上映できる作品として作ったのが本作とのこと。フィルとムーって、WTPのキャラだったのね。

WTPのコメントで成程と思ったが、権利の問題から、上映できる作品が本当に限られてしまうという。だからオリジナルで、子供に映画の楽しさを伝えようと、こういう映画が生まれることはよくわかる。

が、権利を気にするからこその仕上がりになっていて、却ってパチモン臭が…。元ネタを知らない子供がこれを見て、何の疑問もなく、映画への興味をより、持てるのだろうか?現地の反応を、ゼヒ知りたい。

WTPが映画を見せる目的の一つが、様々な人物を提示し“商業選択の自由”を伝えることらしいが、映画を紹介する映画を用意できれば、権利問題もクリアできないのかな?予告編集みたいなものでもダメだろうか?本編上映が数、限られるなら、並行してそういう機会ができれば、子供たちの選択肢も増えるよね。

WTPの活動を知ることで、本作の生まれには納得した。が、育て方がこれで適切だったかは、個人的には疑問です。

秦俊子監督の短編は、他にも幾つか見てみたが、紋切型から抜けられない人では?との疑問を持ちました。その作風は当然、この個人的な感想にも反映していますね。

WTPのような活動の前例としては、例えば、軍事政権下のチリでの即席映画学校を描いた『100人の子供たちが列車を待っている』が、とても参考になると思いました。

<2024.8.10記>
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