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悪太郎のTnTのレビュー・感想・評価

悪太郎(1921年製作の映画)
3.9
キートン、またまた不運に出くわす。とにかくあちこち駆け回る。これだけでこんなに面白いのがすごい。ヒッチコックも巻き込まれていく主人公をテーマとしたサスペンスをいくつも撮っているが、今作品ほど酷い巻き込まれ方もない。にしてもあらゆるシーンが羅列されるこのスピードがすごい。見終わったら、ほとんど抜け落ちてしまいそう。

画面の中の人物のサイズ感がいい。建物の壁を真正面から撮るのが多く、そこにちょこんといるキートンがミニチュアのように見える。カメラの回転数も早いため、この頃の喜劇はほんとにドタバタなのだ。それを含めてなにかおもちゃ箱の世界に近いものを感じる。

機関車がカメラに向かって真っ正面に向かってくるシーンなど、驚かそうとする工夫やまた技術的にもすごいことをやっている。いったいどう撮影したのか。
リュミエールの撮影した電車の影響をひしひしと感じる。

タイトルの悪太郎というセンスに時代を感じる。
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