じゅんP

音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!のじゅんPのレビュー・感想・評価

2.2
ゆるいってイメージで語られがちな三木聡作品ですが、こと映画に関しては(映画で見せたいものがあるというよりも)テレビで出来ない、もしくは出来なくなったものを見せようとしてる監督なんだと思ってます。具体的にはプチ見世物根性の見本市。

で、今作。普通に会話が成立していて話が前に進んでいます。でもそーいうのが持ち味の監督ではないので、面白みのない会話が成立して、面白みのない話が前に進んでるだけ。お馴染みのキャストもストーリーの枠から外れない範囲でしか暴れないのでただの変わり者になってるし、ちゃんとしようとすればするほどテンポが死んでいきます。テンポが死んでるから、いつも通りの「三木」要素も記号的なサブカル要素もことごとくスベり倒していきます。

停滞感にさらに輪をかけてるのが題材の調理方法で、どのシーンでどれだけ音が響いてどれだけ声が届くのかという映画の肝の部分が感情の昂りにほとんど寄与してくれません。音楽の力を信じて、音楽の力を見せることに対してとても不誠実。ましてロックやパンクだってんなら尚更。

失敗の仕方が全然気持ち良くない失敗作。
じゅんP

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