脅威な声を持ったロックシンガー(阿部サダヲ)と声が小さすぎるストリートミュージシャン(吉岡里帆)が謎の組織に追われるロックコメディ
『時効警察』の三木聡監督5年ぶりの映画作品
前作『俺俺』から様子がおかしかったのが、本作で決定的となった。いったいどうしたの、というくらいの絶不調である。
麻生久美子、ふせえり、岩松了などいつもの三木聡メンバーが揃っているが、撮り方がまったく違うせいで別人が撮ったのかと見紛うばかりに求めていたものがない。無意味にスタイリッシュだし、カメラの手ブレで酔いそうになるし、無意味に「意味」がある。無意味に無意味なギャグの連鎖で映画を構成するのがこの監督の持ち味だったはずなんだけど。
なにより、いままでこんなシリアスで湿っぽいの撮らなかっただろ、というシーンが散見されたのには驚いた。阿部サダヲと吉岡里帆という2大スターを求めてくる観客へのサービスなのだろうか。よくわからない。
まだ『イン・ザ・プール』『ダメジン』といったあまり評価の高くない初期作品のほうが面白いのではないか。
『時効警察はじめました』の第一話見たけど、こっちにはまだ味がある。本当にどうしたんだろう。