アタフ

予兆 散歩する侵略者 劇場版のアタフのレビュー・感想・評価

3.3
ハッキリ言ってこれは東出昌大のベストアクトではなかろうか!?
東出さんって演技が下手とかセリフ棒読みとか、彼の演技に対しての不評はよく耳にしますが、今作ではその棒演技がまさに"得体のしれない宇宙人"をよく体現している!!この人はこういう役をもっとやったほうがいいよ!青春映画の主役とか合ってないからさ!
「うわぁ~~」とか「すごいやぁ~」とかのセリフが普通の映画だったら棒読みに感じるところですが、この映画に限っては凄くしっくりくる!概念に驚いている宇宙人っぽいのだ。『クリーピー 偽りの隣人』でも西島秀俊という演技が下手な俳優(ごめんなさい)を上手く使っていましたし、黒沢監督は大根役者をサイコパスに見立てるのが上手いのかもしれません。

主演は夏帆さん、よかったと思いますが本篇での主役の長澤まさみと比べると魅力が乏しい…本篇での長澤まさみの「やんなっちゃうなぁもぅ…」というセリフの破壊力をくらっている身からするとちょっとね。

『散歩する侵略者』のスピンオフ?前日談?ということで、概念を奪う宇宙人が侵略してくるという内容は同じですが、今作のほうがよりホラー寄りでした。「過去」「未来」「命」という概念を同時に奪ってしまう展開はかなり怖かったですが、奪われた人がどうなったかをあんまり描いてくれなかったのは不満です。「プライド」を奪われた女性のその後も全く描かれなかったし、ちょっと手を抜いたか!?

お得意のカーテンヒラヒラとか沢山やってましたし黒沢節は炸裂していました。ただスクリーンプロセスによる車のシーンをやってくれなかったのは残念。黒沢清好きなら雰囲気だけで楽しめると思いますが、そうでない人は上映時間140分ということもあり退屈に感じるかもしれない、
また、侵略されている感が全く感じられないのも本篇と同じ欠点かもしれません。
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