ノラネコの呑んで観るシネマ

劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.3
面白かった。
意外にも劇場用作品はこれが初めてなんだな。
妖の木になった実をを食べたニャンコ先生が、なぜか三匹の子猫に分裂。
貴志が何とか元に戻そうと奮闘し、そこから人々の記憶を触媒に、死んだ人間に姿を変える哀しき妖の物語が浮かび上がる。
まるで「惑星ソラリス」のコピー人間のように、一定の期間他人に成り代わり、去れば周りの人間の記憶から消えてしまうその妖に、貴志は幼い頃からの自らの境遇を重ね合わせる。
と同時に、自分のアイデンティティの源であるレイコの過去を知る。
誰かが誰かを見る、あるいは見た、いくつもの眼差しが交錯する作品で、そこにこの世界の縁に関する不思議な理が見えてくる。
記憶と絆を巡る切なくて優しい物語は「若おかみは小学生!」を思わせるところもあり、最後の切り絵にはちょっと泣いた。
ほぼTVシリーズと同一チームで安定感抜群。
今までの集大成的な作りだが、過去作を知らなくても単体でも楽しめる様になっている。
とりあえずニャンコ先生1号、2号、3号欲しい。