ヨッシー

マスカレード・ホテルのヨッシーのレビュー・感想・評価

マスカレード・ホテル(2019年製作の映画)
1.5
『また映画の仮面を被ったテレビドラマか!』

東野圭吾の同名小説を実写映画化。

高級ホテルでの犯行を予告した連続殺人鬼を捉えるため、ホテルマンてして潜入した刑事とフロント担当が協力することになるが...。

監督は『HERO』『プリンセス・トヨトミ』『本能寺ホテル』などの鈴木雅之。
主演は木村拓哉と長澤まさみ。

フジテレビ制作、鈴木雅之監督、東野圭吾原作と正直期待できる要素がない作品だったけど、当たってきちゃいました。
結論から言ってしまえばい、予想通りの作品だった。

一応本作は高級ホテルのお仕事ムービーとして楽しむ余地はあるし、キムタクがいかにも似合わなそうな接客業に奮闘する姿を楽しむ事はできる。
でも、それらも正直物足りないし、何より他が酷すぎる。特に演出面で大いに問題ありな1作である。

本作は上映時間が133分とちょっと長いが、これだけ長い割に無駄なシーンが多すぎる。
前半は前述したキムタクがホテルマンとして奮闘する姿を楽しめるが、その間メインの話である潜入捜査の件はほぼ進展しない。
話が進まない間はホテルに来た面倒な客のエピソードが複数詰め込まれているが、どれも薄いくせにやたらと感動的な演出な上に細かいところは全て客がセリフで説明してくれるという『劇場版コード・ブルー』方式になっている。
しかも、いくつかのエピソードでは割とくだらないオチが待っていたりして泣かせようとしてるのか笑わせようとしてるのかよくわからなくなってしまっているぐらい演出が下手くそ。

一応どの客のエピソードも本筋の話に多少は絡んでくるけど、やり方がまどろっこしい。もっとスマートにまとめられないものか?

それだけならまだいいが、本作はやたらと間延びしたシーンが多い。会話の間が無駄に長いのは邦画ではよくあることだけど、本作でも頻繁に起きる。
その上、編集で切ればいいような無駄なシーンをやたらと長い1カットで見せてきたりするから超退屈。例えば、終盤にキムタク演じる新田が犯人を探して客室を確認して回るシーンがあるが、

インターホンを鳴らす→ドアを叩く→カードを使って入る→部屋を確認する→はあ、いないな、次いこ

をとてつもなくテンポ悪く繰り返すから退屈だし、一刻を争う状況の緊張感を削いでしまっている。

事件解決後にエピローグ的なシーンもあるけど、いらない上にやっぱり無駄に長い。

とにかく無駄なシーンが多くテンポも悪い。なんでも台詞で説明し、感動“げ”な演出でうんざりさせてくるというまさにフジテレビらしい作品になっている。

単純にミステリーとしてもそこまで面白くはないし、サスペンスとしては間延びした演出で台無し。
キムタクと長澤まさみのバディムービーとしてみても2人のバディ感はそこまで出てないし、お仕事ムービーとしてもそこまで悪くはないがもっとテンポよく楽しく見せることができたと思う。

そもそも、本作のコンセプトである“刑事がホテルマンになって潜入捜査する”事の必然性を感じないのは大問題。別に従業員じゃなくても客として紛れればいいのでは?
面白いシチュエーションだけど、それに説得力を持たせられてない時点で失敗だよ。

役者陣は全然悪くなかった。キャストはかなり豪華だから演技面は特に問題はないし、キムタクの今までとは違う一面も観れるからそこを楽しむことはできると思う。
だが、そんな豪華俳優陣を全く活かせていない程に演出が酷い。他の監督がやっていればまだまともな作品になったんじゃないかな?キムタクを含め俳優陣のファンなら楽しめるかもしれないが、それ以外の人にはかなり苦痛な作品だと思う。
今年のワースト候補です。
ヨッシー

ヨッシー