芹沢由紀子

ラ(ブ)の芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

ラ(ブ)(2015年製作の映画)
3.7
昔から大好きだった親友と、旅行に行くことになりルンルン気分のボク。冴えない日常を送ってる。
腐れ縁の恋人がいてうっとうしいけど、親友と旅に行かせてもらえるるんだから、そこそこ幸せ~。
さて、親友のジェイとなに食べよ~、どこに連れて行こう?
旅費はぜんぶジェイもちだけどね~
そんな女子女子したゲイ青年が主人公。

もちろんこんなノリではじまる物語ではない。が、要約するとこんなイントロ。



「やめて、傷つけたくない」
主人公がジェイに言ったセリフは、じつは逆で、自分が傷つきたくなかったからの拒絶だったんだね

二転三転する恋のイニシアチブ、それが旅の進行によって明らかになっていく切なさよ

ジェイが、過去に2回もドタキャンしたのは、実は彼の方が恐れていたからだったんだね、親友を前に自身を保つことができなくなることを。

主人公の歌う自作の曲はどれもとても美しい。

「ゲイだと思われたくない」というジェイのスタンスをのぞけば、これは普通のノーマルカップリングでも成立するとても繊細なラブストーリーだった。
ち密。人の心の機微。こういう視点が描けるなんてすごい脚本だな~物語を作る側としては見習いたい。
芹沢由紀子

芹沢由紀子