てれ

ラ(ブ)のてれのレビュー・感想・評価

ラ(ブ)(2015年製作の映画)
3.7
インドのLGBTQ映画。
静かな映画で自分には合わないと最初思ったけど、意外と心に残ったというか今でも引き摺ってるほど心がずーんと沈んでるのでとりあえず書き出す。

友人同士のサヒルとジェイが遠出し辿り着いた渓谷のシーンが印象的だった。切り立った岩石だけの殺伐とした景色のはずなのに岩の形を照らす太陽の光がとても美しかった。岩の壁に囲まれた彼らの姿が淡く儚い存在に思えてくる。同時に、寛いだ穏やかなサヒルの表情とどこか不服そうなジェイの表情との繊細な動きがくっきりと映し出され色鮮やかなシーンだった。誰もいない二人だけの渓谷で彼らを結び付けるものは果たして本当に友情なのか、と問われるようなシーン。原題のLOEV、VとEが逆になっているのはジェイがサヒルをたまらなく好きで、友人から恋人に逆転しようとしてることを表してるのかな?と陳腐な解釈をしてみたり(絶対違うんだろうけど)

ジェイ自身サヒルへの恋心はかなわないと分かっていたから、サヒルに嫌いになってもらえれば諦められると思って後々彼にあんなことをしたんじゃないかな。それでもサヒルはジェイに優しくした。それがジェイを余計に苦しめて、あまりにも切ないと思った…

サヒル演ずるドゥルーヴ・ガネーシュさんが凄く可愛らしかった。特に蝋燭をフッと消すシーンの眼差しの美しさに虜になる。亡くなっていたことが本当に悲しい。これが遺作らしく、それでいて彼の演技は素晴らしく輝いていた。
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