ウスバカゲソウ

ローマンという名の男 信念の行方のウスバカゲソウのレビュー・感想・評価

4.0
『イコライザー』のマッコールで騎士道の伝道師となったデンゼル・ワシントン。
今作のローマン、紆余曲折や道に迷いながらも同じ魂を感じた。

スーパーヒーローだったマッコールと違い、ローマンは大分厄介な人物。
コミュ障感は『ナイトクローラー』に近い。
「人は自ら孤独となる」
そんな生きづらさを地で行くローマン。
見ていて辛い!
冒頭でも示されるようにかなり危ない橋も渡ってしまう。
変人だけど聖人、とはいかず。
主人公に甘くない。
『イコライザー』のように気持ち良くさせてくれない。
このあたりの迷走がいまいち名作として認知されてない理由か。
そこが良いんだけど。

コリン・ファレルの適役感。
一見良い人、実は冷酷な拝金主義者。
ほんとこういう役回り多くてファンとして辛い。
ぴったりなのがまた。
しかし、そこは『イコライザー』。
もしくは『デンジャラス・ラン』
魂は伝わる。
かつての理想、正義を思い出させる。
「正しいことをしろ」
良い意味で裏切られた。

ちょっと散漫なところやクセがある。
デンゼル便りが過ぎる。
ストレートな名作ではない。
しかし、良い意味での裏切りとラストの切れ味。
あいつの背中。
スピナーズの「アイルビーアラウンド」が滅茶苦茶カッコいい。
古臭い騎士道、正義、理想。
魂の残り火を消すことはできない。