Masato

オンリー・ザ・ブレイブのMasatoのレビュー・感想・評価

4.3

久しぶりの消防士映画

「バックドラフト」以来の久しぶりの傑作消防士映画。

日本が「津波」や「地震」が頻発して困っているのと同様に、アメリカでは地域によって森林地帯が多いため、山火事はよく発生する天災として知られている。なので、「建物消火」と「森林消火」とで分けて役職が特化されているのが特殊だった。そして、ほとんど知ることのない、山火事ってどうやって防いでるの?という疑問を本作は解決してくれる。

以前はFire manと呼ばれていたが、現在は男だけではないので、Fire Fighterに変わっている。では、なぜFighterと呼ばれているのか?それがよく理解できる。「バックドラフト」同様に、「火」はまるで意思があって、人間に対して敵意があるかのようにうごめく。それを消化する姿は戦う姿とよく似ているのだ。山火事に関しては、津波のように迫ってくる火を防衛線を張って防いでいる。

そんな火と戦う中で描かれるのは森林消火隊の漢臭いドラマ。火と対峙する中で、己とも対峙する様はとてもアツい。まるでスポ根映画を見るような、チームが一丸となっていく様を見ることができ、ダメ人間の成り上がりドラマを見ることができ、そして、リーダーとして、夫として、どうあるべきなのかという葛藤を見ることができる。予告編で、未曾有な山火事に挑むという煽り文句から、すこしそれに至るまでに長く感じたが、最後に予想外の展開が待ち受けていて、とても衝撃的だった。

監督のジョセフ・コシンスキーは「トロンレガシー」、「オブリビオン」で知られており、時代を担う監督として注目されていたが、どちらも評価が微妙で売れ行きも乏しかった。しかし、SFとは真逆の男臭い人間ドラマで才能が開花してしまうとは。監督も飛んで火に入るなんとやら(火事だけに)の心意気だったと思うが、すごい勇気だと思う。

キャストのみんなが凄く合っている。アリゾナという荒野によく会う顔ぶれが勢揃い。ジョシュ・ブローリンはアベンジャーズやデッドプール2と次々に出ていて、昔の低迷期は考えられないほどだ。そして、ジェームズバッジデール、テイラーキッチュ、シェフブリッジズという顔ぶれ。女性陣もジェニファーコネリーとアンディマクダウェルという昔のスターで凄くノスタルジーで良かった。

最後に、エグザイルのテーマソングは良くない。ビジネス的な気持ちはわかるが、映画は予告編で第一印象が決まってしまうので、どうしても安っぽさがついてしまい、逆に見に行かない人も多かったのではと思っている。
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