こうん

オンリー・ザ・ブレイブのこうんのレビュー・感想・評価

4.2
山火事の実話映画かぁ、などとハナクソほじっていたら監督がトムクル増殖映画「オブリビオン」で好感を持っていたジョセフ・コシンスキーだと知って慌てて観に行ってきました。…っていうか公開3週間で終わりかけている!
ケツに火がついた気分でスクリーン前に駆け込んだのですけど、久しぶりに映画を観ていて「えっ…まさか…!う、うわ~ん(泣)」と感情揺さぶられちゃいました。
…まんまと号泣!

いやーいい映画でしたね。
ディザスター映画っぽい感じかと思ったんですけど、その実すげー地味な人間ドラマ。
その人間ドラマが丁寧できっちりと人間関係やそれぞれの葛藤が描かれており、故に、終盤のそれらすべてを残酷に断ち切るかのような悲劇が、つらい。
…乱暴な物言いですが、観客に登場人物を十全に好きになってもらっていきなりぶっ殺す、という作劇がすごく効いているんですよ。
まんまと泣いてしまいましたよ、ヒクヒク言いながら。

そして生命を賭して人々の命や生活や財産を守るという、真の英雄たる消防士たちの誇り高き佇まいと、それゆえに愛する人との葛藤を描破しています。

ジョシュ・ブローリン(ジョシュだけど隊長だ)とジェニファー・コネリーの夫婦の宿命的な懊悩には胸を締め付けられたし、そのブローリンと鏡像関係にあるキャラクターのマイルズ・テラーが導かれてしまった道筋の重さと尊さに心が打ち震えましたことですよ。
あの体育館でのシークエンスなんて、個人的には一番涙がちょちょぎれた。
誰も悪くない、悪くないんだけど…!なんでアイツが…!憎い…!
…というのが辛すぎて。
その負の感情の狭間にいながらジェニファー・コネリーが飲み込んで飲み込んで飲み込んで、吐き出す言葉の重さといったら。
コネリーとテラーの苦すぎる抱擁に滂沱と泣いていましたね僕は。

熱い男たちに燃える山たち、それらを受け止める勝気な女たち。
ウォルバーグ×ピーター・バーグの実録映画とはまた一味違う、娯楽映画としてのフィクション性を抑えながらも、それでも映画らしい人間関係の綾を折りこんだ誠実な作劇が、とてもよかったです。
SF方面の好青年のイメージだったコシンスキーさん、こんな映画も撮れるんだと感心しました。

とかなんとか感激しながら一番瞼の裏に映っていたのは、いつまでたっても美しいジェニファー・コネリーさんですよ!
彼女が泣いたり笑ったり馬を愛でる描写だけで僕は大満足でした。
ラックス、スーパーリッチ!(93年で脳みそ止まってます)
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