ワルキューリ

オンリー・ザ・ブレイブのワルキューリのレビュー・感想・評価

4.3
アメリカでの消防士は「ファイアファイター」と呼ばれる。特に例年のように襲い来る森林火災から街を守る森林消防のエリート集団「ホットショット」は人々から一際大きな尊敬を集める存在だ。
ヤク漬けでどうしようもない生活を送っていたブレンダン(マイルズ・テラー)は、思わぬ形で子供ができたことを告げられる。更生を期して市の森林消防隊の面接を受けた彼は、初日から過酷な訓練に挫けそうになるが、不屈の根性を見せ次第に隊の一員として認められていく。
一方、彼を受け入れた隊長のマーシュ(ジョシュ・ブローリン)は隊をホットショットへと昇格させるべく奮闘していたが、次第に妻との間に抱えていたある問題を巡って溝を深めていく――

見る前はあまりそそられなかったけど、劇場で見てよかった!
よくある「ダメ男が一念発起で立ち直るストーリー」だけじゃなく、周囲から頼りにされ、ダメ男を引っ張りあげる完全無欠に見える大人が抱えた弱さ。それを容赦なく暴いた上で、改めて家族とは・生きるとは何かを語りかけてくる。

ブレンダンを小馬鹿にしていた消防隊員たち(特に最初の「歓迎」はキッツい!)が、彼を認めた瞬間のいたずら。ああいうのいいなあ。
待機中はもちろん、任務中でもおしゃべりしながらこなすっていうのは日本だと考えられないけど、あれもコミュニケーションとチームワークを重要視する彼ららしいリアル。
もちろん仕事をおろそかにしていないのは、頭の中に叩き込まれた消防士の心得が証明している。

終盤、それまでほとんどなかった死の予感が、ブレンダンのある決意表明から急速に匂いたち、フラグがビンビン立ちまくる。そして迎えた最後の出動とブレンダンの運命。
最後にブレンダンが背負った「任務」こそ、マーシュらのとっておきの課題のように感じてならない。