滝和也

オンリー・ザ・ブレイブの滝和也のレビュー・感想・評価

3.9
燃え上がる大地。
炎に挑む、熱き男達
へのレクイエム…。

その勇気と誇りに
敬服と賞賛を。

「オンリー・ザ・ブレイブ」

アリゾナ州の地方都市、始めて地方自治体で森林火災精鋭消防隊ホット・ショットとなったグラニア・マウンテンの活躍を描いた実話です。

ストレートに火災もの、炎を扱った映画では、未だバックドラフトを超える作品がない(私の勉強不足かもしれませんが…)と思っていましたので、公開時、見に行きたかったのですが、叶わず…。今後悔しています。これは劇場で見るべきだったと。

バックドラフトに及ばずとも、かなり肉薄した作品でした。なるべく内容を聞かず見たのが良かったかなと。実話と知らず見ましたので、実話の持つその残酷さ、重み、強みが活かされた内容に只々驚愕しました…。その面から語れば、マーク・ウォルバーグ主演、ピーター・バーグ監督の三部作に近いと思います。その作品群が好きな私にはハマりましたね(^^)

昨今カリフォルニア火災の報道があり、アメリカでの山火事、森林火災の恐ろしさは知っていましたが、それに立ち向かう消防隊の奮闘は報道されませんのでよく知りませんでした。その側面もリポートして欲しいですね。不幸を伝えるだけでなく、その不幸と戦う勇気ある方々も前面に出してほしい…。まぁ個人情報とか色々あるんですが…。

正にこの映画はそこを描いています。決して美しくはない泥まみれでススだらけで等身大のすこぶる気持ちのいい男達を描いています。そして命を共有する男達の気持ちの良い友情。そして家族のため、誇りのため、命をかける勇気。ジョシュ・ブローリンを筆頭とした男臭さ満点のプロフェッショナルたちのカッコ良さとカラッとした気持ちの良さ。そして子供ができた事から、屑な人生から抜け出ようとする新人にマイルズ・テラーが入隊を許され、成長する姿を狂言回し的なキーマンに添え物語は進みます…。

そこに描かれたのは当たり前の人間を描いたドラマでした。命を危険に晒しながら、炎と戦う勇気。家族を持つ勇気そして家族を守ると言う勇気。常に命の危険がある仕事故に家族を持つ、子供を持つと言うことも勇気が必要なんです。ある日父親がいなくなる悲劇は…。ジョシュの隊長役の気持ちは察して余りあります…。

その勇気を持った上で直面する現実という厳しさ、自然環境と言う厳しさは…余りにも厳しく悲しいものでした…。そのドライな呆気なさが余りにも恐ろしい。それ故にこの作品のヒーロー性が高まっているとも言えますが…。

ジョシュの男臭さが見事に映える配役でしたし、成長し悩むマイルズ・テラーの配役もピタリとハマっていました。また懐かしのジェニファー・コネリーがジョシュのカミさん役を好演。悲しみを誘いますね。

目立たなかった作品ではあるものの、王道過ぎるドラマが現実のストーリーであることは、やはり感情を揺さぶります。良質な作品でした…(T_T)
滝和也

滝和也