きえ

オンリー・ザ・ブレイブのきえのレビュー・感想・評価

3.9
山火事をどう消すかなんて知る由もなかった。それ以前に考えた事もなかった。ヘリコプターで上から放水なり消化剤を撒いて消すものだろうぐらいにしか思ってなかった。まさか山に人が入りアナログに延焼を防いでいたとは…

この作品の大きな要素を分かりやすく言うと森林消防団版"セッション"といったところだろうか…それにしてもマイルズ・テーラーはどうしていつも過酷な役を選ぶのだろう…笑

まぁそれはいいとして新人消防団員の成長物語を主軸に男達の友情と絆、消防団員それぞれの家族物語、そして森林火災の現場を実話ベースで描いた災害パニック映画としてかなり熱い映画だった。

命を賭ける者だけが知る緊張感とスクリーンを飛び越えて襲って来そうな火の恐怖は想像以上で自分の命を危険に晒して任務を全うしようとする男達の志にただただ尊敬の念しか生まれない。でもその一方で女である私は愛する人を送り出す女達の葛藤により共感せざるを得なかった。私だったら『私と山火事とどっちが大事?』とか『もうその仕事やめて』とか言ってしまうだろう。男は何故愛してると言いながら最愛の人を置き去りに出来てしまうのか…山へ行ってしまうのか…

祈るような気持ちで観たラストは衝撃が大きすぎて感情がフリーズしてしまった。アメリカからは度々山火事のニュースが入ってくる。直近に起こった西海岸の大規模な山火事の映像は目を疑うものだったしこれだけの山火事が鎮火するとは到底思えなかった。でもその時彼等の顔が浮かんだ。このニュースの裏側で彼等のように命を賭けてアナログで延焼を防いでる消防団員がいるんだ、その家族がいるんだと思ったら犠牲者だけは出ないで欲しいと祈らずにはいられなかった。

命懸けで働く人々への敬意と感謝はどう表現しても彼等の志の高さには届かないけどこの作品を観た事は心から良かったと思う。

そして日本ではパワハラだセクハラだモラハラだと指導者なり組織の長なり政治家なりに不適合者が多過ぎるけど、ジョシュ演じる
マーシュを見習え!理想の上司とはこう言うものだ。カッコよかった最高に!
きえ

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