シネパピ

オンリー・ザ・ブレイブのシネパピのレビュー・感想・評価

4.0
他の方々のレビューにもあるように、見る前のイメージと見た後の感想が180度変わる作品。

予告を見る限りでは「山火事に立ち向かうマッチョな男たちの汗臭い映画」と思っていたが、とんでもない!

確かに登場人物達はアメリカンマッチョを画に書いたような面々だが、巷によくある「男気」映画のような「友情・絆」を全面に出す語り口ではなく、客観的にこの消防隊の日常を淡々と切り取って見せてくる。

---ここからネタバレ

そして衝撃のラスト。隊は一人を残して19人死亡という結末。普通のノンフィクション系の映画なら、ここで個人を称えるエピローグのカットでエンドクレジットだろうがこの映画は違う。

生き残った主人公(で、いいですよね)に遺族が待ち構える場所へ行かせるのだ。
そして、彼がその場所に入った時の遺族の反応、表情がなんともリアルで冷たい。これは刺さる。

ここで、この映画のタイトルの意味がわかった気がする。「ブレイブ(勇敢)」とは悪魔のような山林火災に挑む消防士に向けられた言葉だが、もう一方で、一人生き残った主人公へも向けられた言葉なんだと。彼は「自分だけ生き残ってしまった」という十字架を背負わされてしまったが、その事実を受け止め前に進んでいくこともまた「ブレイブ」なのだ。

また、この映画は自然の描き方も美しい。燃え盛る炎や、遠くで光る稲妻など、自然現象も丁寧に描いている。それが作品に一掃の説得力を与えていると思う。

何度も見たいとは思わないが、定期的に見たくなる作品になるかもしれない。
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