MasaichiYaguchi

老人ファームのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

老人ファーム(2019年製作の映画)
3.6
和彦は母親が病気になったことをきっかけに仕事を辞めて実家へと戻ってきた主人公の青年・和彦は、地方で働き口がなかなか無い中、老人ホームのヘルパーの職にありつく。
ところが、慣れない老人たちの介護と帰宅しては母親の愚痴を聞くという毎日に疲弊していく。
施設の方針に疑問を持ちながらも、和彦は入居者が楽しく笑顔でいられる理想を思い描きながら日々の業務に務めたが、反抗的な態度をとり、孤高な入居者のアイコに振り回されながらも影響を受けるようになる。
やがて和彦は、ホームでの仕事に生き甲斐を見出だすべく、率先して様々なことを遣り始める。
だが、思わぬ事態が起きて、和彦の人生の歯車が狂い、軋み出していく。
これからますます加速する日本の超高齢社会において、高齢者向け住宅や介護サービスの需要は間違いなく高まっていく。
だが、そのことに比例するように様々な問題が起こっていく。
それは、介護を必要とする高齢者の増加、介護職員の人手不足や待遇の改善、その解決としての介護ロボットの導入、介護にかかる費用の見直し、施設不足による介護難民の発生、老老介護や認認介護、要介護者への虐待の増加などが挙げられる。
本作でも、その一端が浮き彫りにされているが、何よりもタイトルに込められた寓意が終盤で炸裂して余韻を残します。