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ウルフなシッシーのBigsのネタバレレビュー・内容・結末

ウルフなシッシー(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

#1 シアターセブン 2019/1/14
#2 元町映画館 2019/1/17
#3 元町映画館 2019/7/7
#4 シアターセブン 2019/7/12


面白かったー!僕は大好きです。大野監督作はこれからも楽しみ。

基本的に密室での会話劇で、会話の内容は勿論面白いんだけど、会話自体のテンポや突拍子のなさ、ちょっとした相槌や目の動き方でも面白い箇所が多かった。
主演2人が良かったなあ。大野監督自身の感情が表に出ない演技は凄くリアルで、だからこそ「いきなりそんな話する?」っていう内容(仕事のAVの話、金の話、几帳面なところ)が急に出てくると面白い。根矢涼香さんも、最初は顔は怖めだし、ヤな感じもするんだけど、絶妙にキュートなとこが凄く良かった(怖い顔と可愛らしい顔が切り替わったり、呼び方が「あんた」と「たっちゃん」が変わったりして良かった。あと、パチンコの話になったときの「出玉?」とか「弱ええんだょ」も可愛いかった)。この2人の会話の間とか相槌、表情が絶妙だったなあ。最初のカフェに着いてすぐ◯◯って単語を出した瞬間にオイオイオイオイって言うとこで、会話の面白さに引き込まれた。

絵的な良さとしても、2人の最初の出会いの芝居の稽古で、稽古場の鏡に映ってて、タツオがアヤコを初めて見つめるところで、鏡越しではないアヤコの姿が映されるのが良かった。
ラストも単純にちょっとイイ話で終わらないところが品があると思った(絵的には下品だけど)。

アスアブ鈴木さんと本作2回目を観て、演者としての大野監督の魅力もかなり大きいのではないかと思った。抑揚があまりない淡々とした喋り方で、あんなこと話されたらそりゃ笑うし、映画としても現実味があって引き込まれる。

ポスターに書いてあるように「泥仕合」だったり、堂々巡り・不毛に見えたりする。でもこういう色々吐き出せる関係だったり、昔のことを思い出してちょっと笑える関係があるなら、生きていても悪くないのかなと思えた。

主人公が急に話し出す「ゾウの夢」の話。何の話⁉︎と思って笑っちゃうけど、「俺がいいならそれでいいやと思って生きてきたけど、そのツケがまわってきたんだろうなぁ」というセリフは自分にもチクチクと返ってくるようだった。あとルサンチマン3人の会話シーンも、無意識にお互いの自尊心を傷つけてしまうような会話は面白いけど一部分は自分を見てるようだった。
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