小一郎

坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK : asyncの小一郎のレビュー・感想・評価

4.0
2017年春、世界的音楽家・坂本龍一が8年ぶりの最新アルバムをリリースした。タイトルは『async』(非同期)。リリースを記念してニューヨークで2日間、1日1回、観客100人というライブを開催。この模様を収録した映画。ドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto: CODA』を観て本作も外せないかな、と。

映画の紹介のコメントを抜粋すると次のよう。「アンドレイ・タルコフスキー監督の架空の映画音楽を書くというコンセプト」「ピアノやガラス板などを駆使」「『非同期的な音楽を作りたい』と坂本龍一本人が感じるまま演奏」「『あまりに好きすぎて、誰にも聴かせたくなかった』と坂本龍一本人が語るほどの楽曲」。

最後のコメントは万人にウケるようなものではないということだろうと思う。メロディは全く頭に残らないし(私だけ?)、相当変わった“音楽”であることは間違いない。

でもねこの感じ、最近観た別の映画をすぐ思い出した。それは『鉱 ARAGANE』。ボスニア・ヘルツェゴビナのブレザ炭鉱の様子をただひたすら見ていくだけのドキュメンタリー。

巨大な重機とその爆音、暗闇にヘッドライトの坑夫たちの作業などが映し出されるのだけれど、個人的に印象に残ったのが音。多分、日常生活では苦情のもとにしかならない気がする騒音が何故か心地よく、眠くなる。K's cinemaでは限定100枚でサウンドトラックが売ってたくらい。

そう思ってググると、坂本教授の次の言葉を発見した。
(https://gqjapan.jp/culture/bma/20170511/ryuichi-sakamoto-asynchronization)

<もともと僕は、工事や工場の音が好きで、道路工事の現場があると、立ち止まって録音したりもすることもあります。YMOのときも工場の音をドラムとしてサンプリングしたことがあります。今回のアルバムでは、そういったノイズやかつて作られた”音響彫刻”、さらには映画のセリフなど、いろいろな音も使っています。ある人にとってはただの騒音でも、僕にとっては音楽。ノイズもサウンドも人の声もすべての音が音楽なんです。>

人に聞いてもらおうと作った音ではなく、自然に発生した音を切り取った感じに思えるこの“音楽”を聞いていると、自分が何かに包まれているような感じがしてくる。それは意識的には覚えていないけれど胎内で感じたことのようでもあるし、自分が自然の中にいるという感覚のようでもある。

ちなみに『鉱 ARAGANE』同様、ウトウトしてしまったことを告白しておきます、って言うまでもないかな。点数は、こういうの嫌いじゃないのかも自分、という気持ちを反映しています。