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クソ野郎と美しき世界のうるぐすのレビュー・感想・評価

クソ野郎と美しき世界(2018年製作の映画)
4.4
2週間限定上映だから、とりあえず、ざっくりと。また追記します。
3人が躍動するには、スマホの画面ではやはり小さすぎるんです。
特に、香取慎吾というスーパースターが歌って踊るエピソード4。この2年、彼を責めた人、攻撃した人。全員重めの風邪引けばいい。奴らこそクソ野郎だ。
4つの物語からなるオムニバス形式の今作品。それぞれの物語の連関はあまり密接ではないから、そこが少し物足りないような気もするんですよ。たしかに。でも、今回の作品で見せたかった部分はきっとそこではなく、独立した3つの物語の世界を生きているはずのそれぞれ3人が、最後に出会ってしまうという奇跡にして、必然。
この部分だったと思うのです。
2時間弱という時間の中で、楽しくない、面白くない瞬間は1秒たりともなかったです。
今の彼らは、ここまでできるんだ、という感動とともに、次回作が早くも楽しみ…
いや、もしかしたら、この作品には、まだまだ続きがあるのかも、なんて思ってしまった。
2週間しかないから、急いだ方がいいです。
こんなに、何も考えずに、楽しい映画は、なかなかない!
エピソード1 「ピアニストを撃つな」
園子温と稲垣吾郎のタッグ。それに加えて浅野忠信、満島真之介、馬場ふみか。
でんでん、神楽坂恵など園組の面々。
まず馬場ふみかが圧倒的に可愛くてエロい。フジコという名前はやはりあそこからだろう。大好きになった。
物語は吾郎さんの語りによって開けていく。大門(浅野忠信』が嗅覚が鋭すぎることや、ジョー(満島真之介)が他人の痛みに共感してしまうことなど人物描写をできるだけ削ぎ落とし、ひたすら、登場人物の恋の奔走を描く。ゴローに一目惚れしたフジコ。フジコに一目惚れした大門。大門を慕うジョー。フジコを忘れられなくなるゴロー。全員が恋に奔走する。この疾走感はエピソード1にふさわしく、映画の始まりを盛り上げる。とても爽やかだった。そして、色彩が鮮やか過ぎた。
エピソード2「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」
街中の至る所に絵を描いては警察に厄介になる香取慎吾。ああ、香取慎吾は役名ね。
そんな香取慎吾を取り調べる刑事がとても優しい。
「歌じゃダメなの?」という、ファンならではの発話には思わず泣きそうになった。
そして、また衝動に身を任せ絵を描きにいくが、刑事の言葉を思い出し歌おうとする。しかし歌えない。その原因が歌喰い(中島セナ)。
「わすれたわけじゃない。なくなったんだ。」歌喰いによって歌を歌った人たちは歌を失ってしまう。それは自分の存在意義なのに。それは香取慎吾にとっても同じこと。
歌える歌を脳内で探す慎吾。
「あー、あれなら、あれはわかりやすくみんなも知ってるし」
としてその歌の一文字めを歌う。
「せ …」
二文字め以降は聞けなかったが、はっきりと「せ」といった。あの時の「せ」はきっとあの歌の「せ」だろう。あの演出にも泣きそうになったよ。
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