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クソ野郎と美しき世界のhi1oakiのレビュー・感想・評価

クソ野郎と美しき世界(2018年製作の映画)
3.1
園子温! 山内ケンジ! 太田光! という、良くも悪くもクセの強い監督陣の3エピソードを、4話目でMVやCMを主戦場とする児玉裕一が大団円に持ち込むという変則オムニバス。

【EPISODE.01】
園子温らしさと稲垣吾郎らしさがぶつかり合って、どちらも引かず融合しない。相性悪いかも。稲垣吾郎が満島真之介の怪演に押しのけられてるってのもある。
この感じなら稲垣吾郎のガンマニアとしての狂気性を垣間見させてほしかったところ。
ただでさえ台詞の聴き取りづらい浅野忠信にマスク付けて喋らせるという暴挙。

【EPISODE.02】
中島セナが凄くイイ! 新人かよ! 山内監督にはこの子で是非1本撮ってほしい。ってか山内作品もっと観たくなった。
香取慎吾は自然体を装う不自然さが個性。ある種“怖さ”や“ヤバさ”を孕んだ感じ。、ジョニー・デップみたいになっちゃう危険性もあるけど、このまま突き進んでほしい。無理に元気とか熱血にならなくていいと思う。

【EPISODE.03】
元SMAP組の中では一番演技の巧い(と同時に一番闇が深そうな)草彅剛と尾野真千子のロクデナシさ加減がイイ!
太田光監督で韓国映画っぽいロクデナシノワールを90分観てみたい。なんなら草彅剛の闇を最大限に引き出しつつ。

【EPISODE.04】
うーん、これはどうなんだろう。サ上とか出てて個人的には楽しいシーンもあるんだけど、大団円らしい大団円でしかなく、映画として前3エピソードをまとめ上げているというよりは、MV的なショーで強引に着地させている。ここは映画撮れる人に任せるべきだったんじゃないかな。

下世話に観れば、SMAPの騒動を逆手に取って“自由”とか“リスタート”を謳っている作品として興味深く、それなりに楽しめる。
日本人に住んでいて、それなりに芸能界の情報が入ってくる状態であればなんとなく“あぁこれはこういうことを言いたいんだろうな”と所々受け取れるわけなんだけど、その騒動云々を抜きにして観た場合に、映画として語りたいところがあるのかが疑問。
まぁそういう意味で“今(なら)観る価値のある”とは言える。
2週間限定公開という不自然なフォーマットも疑問。集客を圧縮してランキング上位に入れる策なのか、はたまた大人の事情的な何かなのかわからないけど、これだけのスタッフとキャストを並べているのだから、前述した騒動をほのめかすやり方含め、そういうものではなく堂々とストレートなショウビズとして勝負してほしかった。勿体無い。少なくともこのやり方で話題性を得られるのは今回まででしょう。
好き嫌いは抜きに、嫌が応にも“SMAP世代”である自分的には、奥歯に物が挟まったやり方ではなく、彼らがちゃんと世間を驚かす姿を見たいなと思っていますよ。
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