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娼年のisknのレビュー・感想・評価

娼年(2018年製作の映画)
2.6

女性も性への関心はあるということは当然なのだろうけど、それをしっかりと描いたことは、男性中心主義的な世界からの脱却を図っている昨今の状況を鑑みたとき、非常に良いテーマだと思う。

もちろん、海外の作品を見たときに、そういったテーマの映画は結構見ることができるけど、こと日本においては、あまりなかったように思えるからだ。

作中の女性たちは、主人公・リョウを通じて、様々な性を解放していく。そしてそれは、とりもなおさず自分自身の過去や現在の上手くはいっていないことへの解放と同義となっていく。
セックスを通じて、快楽だけではなく自分の弱味や辛みをリョウの体や優しさを通じてしっかりと浄化していくのだ。
邦画ではあまりお目にかかれない激しい性描写によってその点が力強く描かれている。

観客は女性が大半だろうけど(僕自身も観たとき女性ばかりで、少々肩身が狭い思いをした笑)、男性にこそ見るべき作品だとそう思う。

であるがゆえに、女性の性をしっかり描くなら、美人である人々を出しすぎなのではと思ったり、ストーリーらしいストーリーが全くなかったり、リョウは特に何の苦悩もありゃせんのかいといった批判はある。

何より、女性の性にフォーカスしたかったのか、リョウの過去の苦悩に焦点を当てたかったのか、曖昧なストーリーになってしまった感は否めない。

それでも、松坂桃李のここまでやるかという体当たりの演技には拍手を送りたいと思う。
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