rosechocolat

娼年のrosechocolatのレビュー・感想・評価

娼年(2018年製作の映画)
2.0
原作未読。
読んでいれば原作者の意図も正確にわかるのかもしれないけど、とりあえず映画だけの感想で。

「女性たちが解放されることを理解していく、そこに自己の身の置き所を見出す」のはまあいいとして、描写自体があまりにも男性目線過ぎなんですね。あんな雑なSEXで女性がいいと思ってるんだろうか?と思ったらやはりAVを参考にしたとのことで、非常に残念になった。冒頭のシーン、咲良との初めてのシーンと最後のシーンでは当然大きく変わっていないといけなかったのに、結果としてほとんど同じような感じにしか思えなかった。

各々の女性たちとのシーンは綿密に練られたものということなので、そこに合わせた描写ではあったけど、咲良とのシーンは変わっていないといけなかったはずで、そこが同じということ、違っている風に見せていてもこちらにはそう見えなかったということは、内面がどう変化していったかが伝わっていないことになる。セリフだけではどうとでも言わせることができる。

昨年のTIFFで観た『最低。』にも出演していた女優さんがここにも出ていて、今回の出演者たちの中では一番煽情的なイメージに描かれていた。彼女はTIFFのQ&Aの時に、こうであろう的なイメージを狙いました、的な発言をされていて、それがかなり男性側に寄っていたものだったため聞いていてとても不愉快になった記憶がある。撮影する側もAV的なものを求め、男優もそれを研究し、女優にもその意識がある、あるいは制作側にそれを求められていたのであれば、とても女性の解放という視点からは遠いものに仕上がるとしか言えない。何故ならここに登場する女性たちは全員領の姿勢に信奉しているし、視覚的にもその効果を意図して出しているので。男性による男性寄りの作りこみ方では到底その層が満足するものしか出てこない。

原作ありきというところを敢えてスルーするなら、こんなに作りこんで男性好みの美しいものだけ、フェチなものだけを出すのではなく、もっと現実的なものに寄り添ってみようという提案はなかったのだろうか?例えば出演した女優さんのように美しい人だけではなく、何のとりえもないごく普通の女性たちでよかったのではないか。男性好みの、高い金が払える人だけが救われる解放されるというのなら、その層向けに映画を作ればいいし、そのように宣伝すればいい。イツキさんだの夫婦だの老女だのの設定も、いかにもマニア向けって感じなんだなー。いろんな好みに合わせたくて引っ張り出してくるのはいいけどどれも現実的じゃない。たまには領に反発する客がいたり、逆に領がブチギレるケースがあってしかるべきと言うか、風俗が全部当たりな訳ないじゃん(!)というごく普通の疑問は残るんだが、綺麗に描きたいんならそういうの封印だわな。

唯一最もリアルに「解放された」(という言い方が適当かどうかは謎だが)に近かったシーンは、領と恵とじゃなかったかと思うんだけど、それにしてもSEXがワンパターンじゃん・・・って、そこ見ちゃうとがっかりなのでした。あと、冨手さんは完全にあちらの人だったね。そこ確認しました(苦笑)
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