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娼年のeyeのレビュー・感想・評価

娼年(2018年製作の映画)
4.0
娼年(2018)

なかなか凄い映画を観た
何故今まで観ずにスルーしてたのか

観終わったあとに激しく後悔してしまった

この映画は女性の欲望の広がり方を
奥深く大胆にセックスを通して表現している

三浦監督の過去作品 愛の渦 / 2014 にも通ずる
身体全体の表現がとにかく凄まじかった

大胆な肉体と肉体のぶつかり合いのその一方で
登場人物達の"感情" に重点を置いている

過去の傷つき や その瞬間に生きる喜び
対する悲しみ そして 怒りや憎しみ

あらゆる感情が上下に揺さぶられて
各々の人間の成長する姿が見えてくる

とんでもない映画だった

単なる普通の男性 森中 領 ≠ 松坂桃李 氏が
数々の女性の欲望を間近で体験する

それを受け止め どんどん人間として
垢抜けていき 更に人間として成長する

冴えない表情から勇ましい表情まで
松坂桃李 氏の演技が繊細かつ大胆で
ホントに素晴らしく感動させられた

次から次へ登場する女性達に秘められた
もう一つの顔が彼によって明るみになって

大胆に心を開き 花が開いていくその様子に
気づいたらこちらまで画面に釘づけになってた

全体のトーンは彼のテンションのように低く暗い

計算されたスタイリッシュさに加えて
とても清潔感があって臨場感もある

ラブホの廊下を歩く従業員の壁の向こうで
大胆に激しくセックスをしているシーン

そのライブ感がとてもリアルだった

領を買う 数々の女性達の家の中が
劇中では丁寧に描かれている

そのインテリアも和から洋まで
とてもシンプルでカッコいい

それがまるで彼女たちの心の中を
見せてくれているかのようだった

そして更に良かったのが劇中の音楽

半野喜弘氏のプロジェクトRADIQの
"Sugar Roads" が冒頭のバーのシーンで
静かながら雰囲気にとてもマッチしてた

残念なのが上記の曲は12"アナログ盤でしかなくて
サブスクリプション等では聴けないのが残念

ソウルかつグルービーな曲でありつつ
ジャズ要素も含まれる1曲となってる

そしてラストにかかるエンドロールでの
Mr. Wonderful / Peggy Leeも秀逸

https://youtu.be/0p5jJIUs22g

20世紀を代表とするシンガーの歌声で
締め括られるラストに心を持っていかれた

ジャズクラッシックに合うエンドロールに
思わずジーンとしてしまった

この作品の素晴らしさは

過激な表現の裏側にある繊細さに加えて
とても幻想的な表現が多い

どこか ふわふわしている彼の心とは別に潜む
情熱さや真っ直ぐな気持ちが描かれる

その姿勢が魂と魂のぶつかり合いになって
女性達の感情を押し上げてくる

観てる側は 森中 領 という人物が最終的に
何を感じ どこに向かうのかを追体験する

領の表情が少しずつ丁寧に変わっていき
声のトーンも徐々に変わっていく

どんどん変わっていく姿にとても感動した
爽やかな感動の中で純粋な愛を体験できた