ミヤザキタケル

ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男のミヤザキタケルのレビュー・感想・評価

3.4
ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男
来年1/13公開ですが 一足早くレビュー。

広告を一切用いず自己資金だけで活動し、アクセサリーや小物に頼ることなく洋服だけを展開する世界的ファッションブランド ドリス・ヴァン・ノッテン。
デザイナーであるドリス本人に迫ったドキュメンタリー作品だ。

元も子もないことを言うが、ドリス・ヴァン・ノッテンを知っている人や好きな人でない限り今作に触れようとは思わない
何かしらのキッカケがなければ、見ず知らずの他人のドキュメンタリーに興味なんて抱けない
だからこそ、ぼくはあなたにとってのキッカケになりたい
何故ならば、夢を叶えようと足掻き続けている者にとって観る価値のある作品であったからだ

ぼくはVivienne Westwood一択でファッションには疎い
恥ずかしながら、今作に触れるまでドリス・ヴァン・ノッテンの存在すら知らなかった
何を以ってファッションショーの善し悪しを判断していいのかも分からないし、そもそも色覚異常で色の違いすらしっかり把握できない
こんなぼくでは引き込まれる要素など皆無な気がして正直不安であった
が、そんなことは関係なかった
描かれていたのはプロフェッショナルの姿勢・心構え
ドリス・ヴァン・ノッテンが天才と称される由縁を、多くを成し遂げてきた理由を垣間見る。

ぼく達はつい天才や金持ちと呼ばれる類いの人間をバカにする
バカにすると言うと語弊があるが、雲の上の存在へと追いやり同じ視点で彼らを見ようとしない
ラクして稼いでいるのだろうと 恵まれた環境に身を置いているのだろうと 人生イージーコースなのだろうと誤認する
よくよく考えてみれば分かるはずなのに、自分達と同じベクトルで考えることを避けてしまう

同じだけの努力ができないからひがんでいるだけ
同じだけの偉業を成し遂げられないから言い訳してるだけ
何かを成し遂げる者は皆想像を絶する努力をしている
成し遂げた後だって、その地位や名誉を維持していくための努力を重ね続けている
それらの努力に見合った対価を手にしているだけ
劇中のドリスを見ていれば分かるはず
彼の心はいつだってチャレンジャーであった。

世間の流行に囚われず、自分達の信じる道を貫いてきたドリス・ヴァン・ノッテン
言葉にするのはカンタンだけど、自分事に置き換えて考えてみて欲しい
誰もがSNSに囚われている中、SNSを一切やらない
世間がスマホ主流の中、ガラケーを貫き通す
流行りのファッションや髪型がある中、坊主頭でUNIQLO一択
チープな例えになってしまったが、あなたにはあなたに当てはまる何かが思い浮かぶと思う
ぼくはInstagramのフォロワー数に囚われている
Instagramあってこそ仕事に繋がっていることが多い
流行が途切れたのなら、途端に力を失いかねない
ドリスが強いのは、世間の流行とは無縁であること
それでいて、いつだって求めら続けていること
敵わない
いや、敵わないのではなく彼のような努力をしていないだけ
自分に必要な努力の余地に気が付ける
あなただってきっとヒントを貰えるはず
ファッション云々問わず、人として彼を尊敬できてしまう

数多のドキュメンタリー作品に言えることだが、フィーチャーされているのはいつだって偉業を成し遂げた者
ジャンルや目指す先は違えど、何かを成す者の背中には人生をより良くするヒントが詰まっている。

彼には仕事でもプライベートでもパトリック・ファンヘルーヴェという同性のパートナーがいた
ぼくは女の子が好きだけど、山﨑賢人くんにはときめいちゃうし照英さんみたいなガッチリした人にハグされたい願望だってある
人より同性愛に理解あるつもりでいた
だけど、あくまで「つもり」でしかなかった
彼らがパートナーであることが語られた際、これまで体験してきた理不尽や苦難などが語られるのだとばかり思っていた
だが、一切触れることなく次の話へと切り替わる
向こうでは同性愛が当たり前のことでサラリと流されたのか、暗黙の了解だったのかは分からない
何にせよ、あそこで引っかかってしまったぼくこそ一番の偏見の塊
作品の本質から逸れる話で申し訳ないが、自分の卑しさを思い知った。

モデルに服を着させて歩かせる
ファッションショーに対してぼくはそれ位の認識しかしていなかった
パリ・オペラ座などで行われるドリス・ヴァン・ノッテンのコレクションを目にして気が付いた
映画や舞台と変わらない
ファッションショーだってあらゆる努力の集大成
携わる多くの人の魂が宿っている
本物を目にし、ぼくの中で新たな世界の扉が確実に開いた

良き映画は人の心を豊かにする
そして、良きドキュメンタリーもまた夢を叶えるためのヒントを与えてくれる
ドリス・ヴァン・ノッテン好きな方はもちろん、そうでないあなたにも観て欲しい
きっと何かを得られるはずだから。

ぜひ劇場でご覧ください。

青春★★★
恋 ★★
エロ★
サスペンス★★★
ファンタジー★★★
総合評価:B