おじさん

ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男のおじさんのレビュー・感想・評価

4.4
「時代を超えたタイムレスな服を目指している。この撮影を通じて成否を判断してほしい。」

ファッション業界の"独立系の雄"ことドリスヴァンノッテンに密着したドキュメンタリー。次々迫り来るコレクションに挑むブレーンとその周りを捉えている感じはラフシモンズに密着した『Diorと私』っぽい。

服に誠実に向き合いすぎて浮世離れしてしまったイメージ像や実際に浮世離れした自宅で育てたオーガニック野菜を食べる姿は、最早ファストファッションと消費社会に対するカウンターカルチャーの権化に見える。
圧倒的な仕事量とそのプレッシャー以外の私生活は本当にタイムレスで充実しているから事務所やコレクション会場に愛犬がいるとそのイメージが混入してなんとも愛らしい雰囲気に。

本人の「着る人と一緒に育つような"タイムレス"な服を作りたい」という志向やコレクションの出来に自ら酔う(必要がある)といったコメント、着る側の"着る人に違和感なく沿う服"といった感想は山本耀司とその服を着るヴィムベンダース、鷲田清一が言っていたことに凄い似ていて仕上がりやテイストはこんなにも違うのに共通するものがあるんだなとびっくり。

テキスタイルに凝った服を作っているだけあってインドに品質管理担当を常駐させ職人を囲って仕事を提供し続けたり、自らデザインを描かずに理念を共有するブレーン陣を統括してコレクションを仕上げていく様は独立系として生き残るブランドの経営スタイルとしても面白い。

なによりあんなカッコいい終わり方は反則。太郎の音楽流せば終われると思ってる情熱大陸とは違い"姿"が語る説得力が一線を画している。

レディオヘッドのコリンが音楽を手がけているのも胸熱。織り機の音にリズム合わせてたり楽しかった。