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ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男のkyonのレビュー・感想・評価

4.0
まさに”ファブリックと花を愛する男”。

90年代から巻き起こったハイブランドの買収ブーム。
それによって今ハイブランドのほとんどはグループ企業化し、めまぐるしい産業システムのスピードに限界を感じていそうな雰囲気。

ドリスはなかでも買収されずに独自のシステムでやっている数少ないデザイナーだから今回ドキュメンタリー化されたのかな。

ドリスのいくつかのコレクションに対するドリスのインタビューといくつかのコレクションに密着した制作背景のドキュメントで、これもファッションについて考えさせられる作品でドキドキした。

見ていてドリスは穏やかな人柄で、冷静に誠実に自分の考えを話しているからそれだけで彼の世界に引き込まれる。デザイナーの色も含めたブランドとして愛されているんだろうなってドリス本人の姿を見ていてつくづく思う。

たくさんのファブリックの中からサンプルを150以上アップしてそこから70〜80に絞る方法や、色々な布地を重ね合わせて見るところにわくわくが止まらない。あれ?って思う組み合わせが調和して、さらにモデルが着るとこれ!になる過程を見る面白さ。

とにかくドリスは見て考えるタイプのデザイナーなんだなと。
本人も話していたけど、デザイン画とかよりも、まずはストーリーや背景から考えていくって言っていて、中でもマリリン使ったジャケットとかセレブがテーマのコレクションとかどこか非日常にみえて日常に馴染む、そんなデザインなんだね。

ファッションっていう言葉が嫌いで、もっとタイムレスで、着る人とともに成長し、色々なテイストに馴染む服を作りたい、って話すドリス。
その姿勢の通り、彼はインドに自分の刺繍アトリエを作って、雇ったインド人をきちんと雇用して仕事を与えて守ろうとしている。

一過性の、どこかの過程で誰かが無理をするような産業のあり方ではなくて、自分の範囲で可能なやり方で産業含めてブランドを回しているところに敬意を払いたい。

産業と創作のバランスを取ろうとしているデザイナーとしてファッション業界で大切な人であってほしい。

彼のパートナーや、自宅、ガーデン、暮らしを見ていて幸せになれるのもこの作品のおすすめポイント。