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ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男のnanaのレビュー・感想・評価

3.9
完璧主義者、良くも悪くも神経質で思慮深いということが伝わってきました。
ベースにはクラシックな服があり、キッチュ、悪趣味な要素を混ぜつつも、上品に仕上げる。パフォーマンスで終わってしまうような服にはしない。そういう考え方、バランス感覚からも彼の几帳面さを感じます。
生活を飾る。決して華美にではなく、自然に生まれてくるものたちで飾る。それを意識し計算してやっているかんじ。貫くことは容易ではないですよね。ああ私も生活をしないと、と意欲が湧いてくるような、逆に凹んでしまうような…
服を作る過程での、いろいろ組み合わせてみたり、そこから生まれる偶然。観ていてわくわくしました。美しい刺繍を作るための労働の現場を覗けたのも良かったです。
ファッションの知識がない私には、作り手の思想や背景や事情を汲み取るのが難しく、自分の意思に責任を持って服を選び着こなすなんて事はとうてい出来ず、ついつい量産された道具としての衣料品に逃げてしまいがちです。いつかは自分が選ぶものに自信を持てたらいいけれど。
服作りの裏側をもっとたくさん知りたくなりました。
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