まりぃくりすてぃ

36.8℃ サンジュウロクドハチブのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

4.0
ありふれてる日常をいとおしく描いて、、不快感のない映画。
「百はムリ」───の発言から大ゲンカになるかと思ったら、丸くおさまってホッ。
そんなふうに仲よし女子高校生三人組がしょっちゅう過ごすビル屋上の、不思議設定なダイニングキッチンだけが微メルヘン。好き。主人公のワカナ(堀田真由さん)はどこにでもいそうな優しい心の持ち主で、出来事は現実に起こりうることばかりで、各人の演技も(素人っぽさ含みだが)自然さ優勢で。
キャラ立ちまあまあな女子間の、緊張もチョットありな“連帯”に恋とか進路の悩みが出入りし、私たち観客は丁寧にその出し入れとバランスを見守らされる。理詰めの衝突も結局する関西女子たち(やっぱり素人の香りつき!)を丁寧に、の感じ、濱口竜介監督の『ハッピーアワー』に通じるかも。大人向けのあの超大作をうんとプチ化して幼くしたみたい?(あれがお気に入りな人はこれも観てみるべし。)
さて、ワーちゃんに言ってあげたいよ。必ずしも職業や受験学校名が浮かばなくったって、「気立てのよい(料理のもちろん得意な)お嫁さんお母さんになりたい」だけ進路希望調査票に書いたって、いくない? きっと運命があなたの優しさを放っとかないよ。。

元カレとの回想がお弁当とボートの2場面以外なかったのは、映画として物足りないな。フラッシュバック時にもそれが使い回されてて。
あと、幼い弟に笑顔が少なすぎた。
アユ役の西野凪沙ちゃんの美形感が、役回りにジャスト。
ルックス主体にキレのある渡辺真起子さん(母役)の、遠慮がちに演じた結果のふんわりな物腰にも注目。
イチジクをこれほど美味しそうに描いた映画を私はほかに知らないです。