凛太朗

夜の大捜査線の凛太朗のレビュー・感想・評価

夜の大捜査線(1967年製作の映画)
4.1
で、デンゼル・ワシントン!
ではなく、黒人俳優の道を開拓した第一人者とも謳われるシドニー・ポワチエ主演の社会派ミステリー/サスペンスの名作。

原作はジョン・ボールの『夜の熱気の中で(In the Heat of the Night)』で、『ポセイドン・アドベンチャー』や『タワーリング・インフェルノ』などのディザスター・ムービーの傑作で脚本を書いているスターリング・シリファントが脚色し、監督は『華麗なる賭け』、『屋根の上のバイオリン弾き』、『月の輝く夜に』などのノーマン・ジュイソンで、アカデミー賞作品賞、脚色賞、主演男優賞(ロッド・スタイガー)、音響賞、編集賞の五部門を受賞。

知的なエリート黒人と、白人警察官所長のバディ・ムービーということで、所長を演じたロッド・スタイガーがオスカーを獲っていますが、263箱分のガムを噛み続けたというロッド・スタイガーさん、いい感じに小憎たらしい差別主義者の白人警官のステレオタイプを見事に演じておりますね。

エンディングこそハッピーエンドで終わるのですが、この作品も見方によってはアメリカン・ニューシネマであり、当時を反映した南部での根強い人種差別であったり、差別意識に伴う警察の怠慢や腐敗といったものがありつつも、白人の黒人に対する隠れたコンプレックスを炙り出すように、力を誇示するかのような皮肉な描写があるように感じる。
ただそんなことには動じないシドニー・ポワチエ扮するフィラデルフィア市警のエリート警察官ヴァージル・ティッブス。
頭は切れるし常に冷静でクールである。
自由の鐘や独立記念館などがあるフィラデルフィアは、アメリカらしい自由の象徴とも呼べる地だと思うので、ティッブスがフィラデルフィアから来たということは非常に重要な意味があるものだと思われる。
当時の公民権運動とも重なり、アカデミー賞作品賞を獲ったのは必然ともとれる。

しかしまぁ白人至上主義者というか、差別主義者というものは恐ろしい。
公民権運動が盛んなこの時期でも警察とKKKなんかの白人至上主義団体の癒着が実際あり、フィラデルフィアでも公民権運動家が謀殺されるといった事件があったみたいだけれど、迫害される側の多くは本当に怖い思いをしていたと思うし、今のあの国は、警察どころか大統領が表立って人種差別紛いのことやってるから、過去のことでは済まされないものがある。
そういった意味でも今観るべき映画かもしれない。
今は今で同じようなテーマの映画がいっぱい作られてるけど、これはその先駆けである。