ナツミオ

夜の大捜査線のナツミオのレビュー・感想・評価

夜の大捜査線(1967年製作の映画)
4.0
WOWOW録画鑑賞
【アカデミー賞特集2022・作品賞編】
"They call me Mister Tibbs!.”
〜"ティッブスさん、だ!“

過去レビューも久しぶりの鑑賞でレビュー再投稿。
前レビューにイイね!頂いた皆さま、ありがとうございます‼️

有色人種への偏見・差別が残る1960年代の米国南部の小さな町で殺人事件が発生し、白人警察署長とアフリカ系刑事が対立しながらも捜査を続ける。サスペンス・ミステリー、社会派ドラマの名作。

アカデミー賞
7部門ノミネート(監督・音響効果賞)
5部門受賞(作品・主演男優ロッド・スタイガー・脚色・編集・音響賞)

第33回ニューヨーク映画批評家協会賞(作品賞・主演男優賞ロッド・スタイガー)受賞

第25回ゴールデングローブ賞
作品賞(ドラマ部門)・主演男優ロッド・スタイガー・脚本賞受賞

第21回英国アカデミー賞
最優秀外国男優賞(ロッド・スタイガー)受賞
国連賞(ノーマン・ジュイソン)受賞

原題 『In the Heat of the Night』

1967年米作品
監督 ノーマン・ジュイソン
脚本 スターリング・シリファント
原作 ジョン・ボール
『夜の熱気の中で』
(アメリカ探偵作家クラブ新人賞受賞作)
音楽 クインシー・ジョーンズ
主題歌 "In the Heat of the Night“ 歌:レイ・チャールズ
撮影 ハスケル・ウェクスラー
出演 シドニー・ポワチエ ロッド・スタイガー ウォーレン・オーツ リー・グラント ラリー・ゲイツ ジェームズ・パターソン

翻訳者 佐藤一公

(WOWOW番組内容より)
ミシシッピ州の地方にある小さな町、スパルタ。
真夏のうだる熱さのある夜、地元の有力者が遺体になって見つかり、ギレスピー署長(スタイガー)はたまたま旅行で現地を訪れていた、フィラデルフィア市警殺人課のアフリカ系刑事、ティッブス(ポワチエ)を誤認逮捕してしまう。
やがて誤解が晴れて釈放されたティッブスに、アフリカ系に偏見を持つギレスピーは嫌々ながら捜査への協力を依頼。ティッブスは遺体の検視で新事実を発見すると、ギレスピーと犯人捜しに臨むが……。

子供の頃、TVの洋画劇場で何回か観た記憶。
レイ・チャールズの主題歌、南部の暑い夜の雰囲気、ポワチエの格好良さはしっかりと憶えていた。

今回数十年振りに観て、子供の頃には理解しきれなかった作品内容に、改めて評価を上げた!

1960年代米南部の小さな町で起こった地元有力者の殺人事件。
色濃く残る有色人種差別の中、深夜の駅で、よそ者の黒人が逮捕されるが、実は彼はフィラデルフィア市警殺人課の敏腕刑事だった!
というオープニングからの掴みも最高。

高額の所持金、黒人という理由で身元確認もせず不当逮捕される経緯は、1960年代当時、色濃く残る有色人種差別や偏見を端的に表している。
ギレスピー署長も例外なく、そのうちの1人だが、ティッブスと一緒に捜査を進めるうちに彼の優秀さ、そして住民たちの激しい人種差別と闘う姿に、尊敬の念も芽生えていく、バディムービー。

1960年代、キング牧師の公民権運動を契機に活発となった人種差別撤廃のうねり。
そんな時代の流れを受けたポワチエの当たり役となったティッブス刑事役は、彼の1番好きな作品でもありこの作品のヒットからシリーズ化やTVドラマ化された程の当たり役となった。

脇役も面白い顔ブレ。
ティッブスを逮捕する警官サムにウォーレン・オーツ。ペキンパー監督の脇役常連。本作でも小物感満載のキャラがイイ!

殺された有力者コルバートの夫人役にリー・グラント。
赤狩りのブラックリストから12年間、仕事がなく本作が復帰作。
芸名は南北戦争の両司令官リー将軍とグラント将軍から取ったものだが、ケーリー・グラントとの生涯にわたる恋愛関係もこの芸名を選んだ理由の一つであると告白している。ヘェ〜驚き!
(Wikipediaより)

印象のシーン
・田舎の駅に降り立つティッブスが手にするスーツケース。
オープニングでは足元とスーツケースしか映されないが、そのスマートな形は、都会からの旅行者をイメージさせるに十分な演出!

・AFI名セリフにも選ばれた、冒頭のセリフ。
南部の有色人種蔑視発言に対する、反論のセリフ。
"「ティッブスさん」、と呼ぶ“

・誤認逮捕から、署長室でのティッブスとギレスピーの応酬。
"俺の月給より多い金を黒人がどこで?”

"俺はフィラデルフィアの警察官だ‼️“

"週給162ドル39セント”
このフレーズをわざわざ何回も返すギレスピー署長の嫌味っぽさ!

・捜査を続けるティッブスを追い回す地元若者たちの恐怖感。
撮影時、ポワチエは何度か同じ様な嫌がらせを受けたと語る。

・事件の重要人物、綿花農場主の元へ赴くティッブスとギレスピー。
その農園は、さながら南北戦争前の南部での日常風景。
綿花を摘む黒人労働者たちの姿を
見つめるティッブスの複雑な想い。
そして、農場主との対峙での"ある事件”‼️
その事件のあと、市長から署長への言葉も黒人への反感が垣間見える。
"以前の君なら、その時に彼(ティッブス)を即座に撃ち殺していた!“

・ラスト。ティッブスを見送るギレスピーのシーン。
芽生えた友情と尊敬の念。
に爽やかな余韻。
スタイガーのアカデミー賞主演男優賞獲得も納得‼️

真夏の夜。うだる熱さを感じさせる、レイ・チャールズの主題歌
"In the Heat of the Night“
は古さを感じさせない名曲‼️

2002年にアメリカ国会図書館が、アメリカ国立フィルム登録簿に新規登録。

名優シドニー・ポワチエ
2022年1月6日逝去
R.I.P.


過去レビュー
↓↓

クインシー・ジョーンズ作曲、レイ・チャールズが歌うテーマ曲が南部の暑い夜を連想させる名曲。
「In The Heat of The Night」

AFI名セリフベスト100の第16位に選出。
"They call me Mister Tibbs!.”
〜「ミスター・ティッブスだ!」
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