ねぎおSTOPWAR

夜の大捜査線のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

夜の大捜査線(1967年製作の映画)
4.5
アカデミー受賞作品を観よう46(1967年第40回作品賞/編集賞/脚色賞/主演男優賞/音響賞)

音楽はクインシー・ジョーンズで主題歌はレイ・チャールズですよ!
クインシー・ジョーンズとはかのマイルス・デイビスやマイケル・ジャクソンのプロデューサーで「ゲッタウェイ」なんかの音楽も担当した巨匠!!
ゴスペルや、当時の流行のロックサウンド(ふっるいディストーションの音です!笑)や、効果音まで映画に貢献しています!
レイ・チャールズとは映画「Ray」のレイ!

それと注目は撮影監督・カメラマン(ちなみにカメラマンって英語だとdirector of photographyです)のハスケル・ウェクスラー。
この作品はアカデミー撮影賞は取ってないけど全米映画批評家協会の撮影賞です。彼は「カッコーの巣の上で」や「アメリカングラフィティー」のカメラマン。
ファーストショットが有名で、素晴らしい!最初何かの光なんですよ。複眼のように小さな、そして十字の光の集合体。最初わざとフォーカス合ってないんです。しばらくすると何かが見え始め、光は近づいてくる。そしてそれが奥から走ってくる列車だったんだとわかる。
列車が過ぎる頃は普通の画。
これね、網戸の網なんですって!!
レンズ前に置くと、その網目によって光が映り、列車にピンが来ると網は認識出来なくなる!
すげ!!

また最初死体を発見する流れ、ハスケル・ウェクスラー車撮るの好きなんだろうなー。普通何かに気づき、すぐ扉を開ける画・・とか、開いた扉が死体へのシャッターになってる位置にカメラ置いてサムの後ろ姿込みで見せるとかなのに・・。
これは車の正面のアップ入れて、次に真後ろからのほぼ同様の画角の画。ブレーキを踏む車。だからカメラはスーッと近づきながら左のテールランプアップ。画面には開くドアも映る。

「アメリカングラフィティ」の監督ルーカスに大学で教えたのがハスケル・ウェクスラーらしいですね。そしてその映画で弟子のカメラマンするという!

編集賞はいいとしても、なぜこれで撮影賞と音楽賞が来ないんだ???

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さて本編。

カラードとしては相当痛快な映画です。「ジャンゴ」にもどこか通ずる白人がギャフンとなる話。
へぇー!これが作品賞取るんだぁ!

アフリカンアメリカンとして初の主演男優賞(1963「野のユリ」)を取ったシドニー・ポワチエ(二度目はデンゼル・ワシントン)が粋です。
しかし今作どう見たってシドニー・ポワチエが主演だよ。なのにオスカー主演男優賞は署長のロッド・スタイガーだって・・。

署長(ロッド・スタイガー)はいわゆる南部の男。黒人嫌いの脳が筋肉で出来てるようなタイプ。バージル(シドニー・ポワチエ)にはとっとと帰って欲しいのに、周りから「あいつを使え!」と圧力をかけられるわけです。
で、仕方なく引き止めるんですが「てめえ、ムチで打つぞ!」「あーオヤジがよく言ってたな・・」とほくそ笑む。くーーっっ!!

そして容疑がかかる家に突入!
大量の黒人奴隷に綿花を摘ませる中、署長の車で乗り付けるバージル。

なかなか良く出来た原作だし、脚本も見事だと思いますし、演出も!!
娯楽性、社会性、物語性すっごくバランスいい作品です。是非是非!