Kumonohate

ホース・ソルジャーのKumonohateのレビュー・感想・評価

ホース・ソルジャー(2018年製作の映画)
3.3
911の報復戦のうち、アメリカによる最初の一撃となったアフガンでの作戦を描く。米陸軍の12人の特殊部隊とアフガンの反タリバン勢力とが民俗宗教国家の違いを乗り越えて共に戦う姿を強調することで、あるいは、戦車やロケットランチャーを擁する敵軍に騎馬で突っ込んでゆくという劣勢感を強調することで、あるいは、米軍による超高空からの空爆の戦果を控えめに描き逆に陸戦を強調することで、あれこれと薄められてはいるが立派なナショナリズム&戦争プロパガンダ映画。

そもそも騎馬で突っ込むというのはフロンティア時代のアメリカの栄光そのものだし、何より、過去の“優れた”国威発揚戦意高揚映画がそうであるように、敵側からの視点が全くと言っていいほど描かれない。描かれたとしても、それは“残虐な奴ら”としての姿のみ。つまりは、ナショナリズムと戦争プロパガンダのフォーマットにきっちり則っているということ。

などと目くじら立てるのもどうかとは思うが、こうしたエンタメ作品もニュース等で報道される情報もこうまで一方に偏ってばかりだと、せめて目くじらでも立てないと世の中を見誤るような気がする。
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