9・11テロ直後、初めてテロとの戦いに身を投じた12人の特殊部隊・グリーンベレーの隊員たちの活躍を描いた実録戦争ドラマ。
善と悪に単純化したアメリカ的勧善懲悪のエンタメ戦争映画で、二元論映画の復活はマイルドなプロパガンダ臭が漂い、アメリカのヒロイズムに起因したようにも。テロリストの女の子の扱いとグリーンベレーの男の子の扱いの対比も効果的に。
複雑な9・11テロの原因は全く描かれず、戦争への葛藤もない。2度とアメリカにテロを起こさせないために、母国と家族のための戦うモチベーションで戦地での恐怖も難なく克服する。男たちの強い情熱と命を顧みない決意は常に熱い。
作戦遂行に課せられた大きなミッションは険しい岩山を超えてテロリストの拠点に迫る。その中で様々な課題を一つずつクリアして進んでいくので飽きがこない構成は巧みで、大尉の成長譚にも。中東の複雑な部族関係も取り入れるが、男同士の絆や友情で異文化との交流の重要性の演出の範疇に収まる。
アクションはプロットポイントが満載で見ていて中々楽しい。特にクライマックスの騎馬戦は、空爆で陣地を乱したとは言え、待ち受けるテロリスト達のロケット砲やミサイルや銃弾の集中砲火を騎馬で掻い潜り突進する模様は現実離れしているが、馬で駆け抜ける疾走感と銃撃戦の臨場感は映画ならではの高揚感に溢れる。
実在する人物への配慮なのかユーモア表現が少し足りないことが残念。
作中に何度も登場する俯瞰の空爆シーン。その破壊のカタルシスの有無や心象で、作品に対するのめり込み具合が分かるのでは。