滝和也

ホース・ソルジャーの滝和也のレビュー・感想・評価

ホース・ソルジャー(2018年製作の映画)
3.7
アフガンの大地を
駆け抜ける
鋼鉄の鉄騎兵12人!

9.11の悲劇を超え、
アメリカ最初の反撃を
成し得たのはたった12名の
馬上の特殊部隊だった!

「ホース・ソルジャー」

原題「12 Strong」12名の強きもの達の名に相応しい史実を素にした戦争アクション巨編です。

アルカイダによる9.11テロの直後、アフガンのタリバン、アルカイダに対して反抗作戦が開始される。タリバンの拠点であるマザーリシャリフを制圧するべく、送り込まれたネルソン大尉(クリス・ヘムズワース)率いる特殊部隊ODA595。アフガンの反タリバン、ドスタム将軍の協力を得て、彼ら12名は祖国のため、帰りを待つ家族のため、5万のタリバン軍の待つ、不可能なミッションに挑む。

実際に行われた作戦を描いているだけあって、前半はリアルに進みますので、やや淡々と描かれていますが、後半の壮絶な戦闘シーンはジェリー・ブラッカイマー印ですね。

アフガンでは007に登場したムジャハディン(対ソ連抵抗軍)から騎馬兵のイメージがありますが、未だ実際に使われていたとは…。正に鉄騎兵さながらに敵軍内に突撃するクリヘムと部下、アフガン兵のシーンは駅馬車の頃から続く西部劇を思わせるダイナミズムを感じさせるものでした。ブラッカイマー印の大爆発の中、落ち着いた馬達の演技が素晴らしい(笑)

また、ミッションの過程をリアルに見せるため、余り各キャラに関しては深堀がないものの、部隊内のチームワークの良さは十分でており、実戦経験のないクリヘム演じる大尉への信頼を示す粋な隊員たちに描かれています。それも愛国心をベースに描かれた作品故であり、彼ら自身が実在の英雄であるが故でしょう。またタリバンの非道さが描かれていますのでより彼らがヒーローとして浮き彫りになりますね。

クリス・ヘムズワース演ずるネルソン大尉は正にヒーローとして描かれています。良き父、良き夫であり、理想的な愛国者。さすが雷神様だけあって似合う役です(笑) マーベル繋がりでは、アントマンのマイケル・ペーニャがコメディリリーフとして存在感を示してます。いつもより控え目ですけど(笑) あと…経験豊富な副官の准尉がヘルニアなのは笑いましたが…リアルなんでしょうね。役者さんも上手くて印象に残ります。

9.11のあの日、私は体調を崩し、自宅療養中。TVから送られてくる信じられない光景をリアルタイムで見ていました。その衝撃は明らかにリアルが空想を超えていました。憎しみの連鎖が世界を包む瞬間。その後を考えると只々称賛できない部分はあるものの、あの映像を見ていた故に、またタリバンの非道さを見聞きすれば、こういう現実を描く作品もありと理解できます。ただ作中で描かれた様に、無垢な子供たちが戦場にたち、犠牲とならざる得ない現実も忘れてはならないとは思いますが…。

追記…因みにソ連のアフガン侵攻ゆえか、それともソ連崩壊の余波か、キーとなる兵器がカチューシャロケットとは、スターリンオルガンと呼ばれたあれが出てきたのは驚きでした…。

追記2…因みに航空戦力を持たないアルカイダ、タリバンに空爆で対抗するのですが、B52が健在でした。ただ爆弾槽をあけて爆弾が落ちていくシーンが雑で精密に誘導してる感じがないのは…。精密誘導爆弾とかではなかったんですかね…。
滝和也

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