ヨッシー

ういらぶ。のヨッシーのレビュー・感想・評価

ういらぶ。(2018年製作の映画)
1.0
『これ本当に累の監督か?』

『Sho-Comi』で連載されていた人気少女漫画を実写映画化。

ネガティブをこじらせ過ぎた少女・優羽と幼馴染で優のことを好き過ぎるあまりいじめてしまう凛の恋を描く。

監督は『キサラギ』『累』などの佐藤祐市。
主演は平野紫耀と桜井日奈子。

またまたラブコメの実写化。ホント今年だけで何本目だ?
基本的に僕はスイーツ映画というのは全然好きじゃないジャンルなんだけど、まあ当たり屋だし、たまには『虹色デイズ』みたいな掘り出し物を見つけることもあるから見にいくんだけど、大抵はハズレ。
今回は監督が『累』の佐藤祐市監督ということで気になって見てみたんだけど、これは本当に『累』の監督が撮ったのか?と思う程にクオリティに差があり過ぎる。
結論から言ってしまえば、今年の実写化の中でも一二を争うほど酷い。僕の「スイーツ映画のこういうところが嫌い」という要素がこれでもかと詰め込まれたような作品だった。

ちなみに原作の方は試し読みで1話だけ読んだんだけど、もうこの1話目の時点でキツかったからこれは原作にも問題あり何がする。全部は読んでないから断言はしないけど。

なにせ、主人公の平野紫耀演じる凛というキャラクターがもう完全にアウト。
好きな子に“クズ”とか“ごみ”とか完全な暴言を普通に吐くような奴は普通に最悪だし、暴言を吐く理由が“可愛い優羽に男がつかないように自分に依存させるため”という恐ろしく下衆な理由なのも酷い。
しかも、そんな下衆な行為を”優のことが好きすぎてやってしまった“とか”優がそんなに嫌がってない“とかで凛の事を悪く見られないように予防線を張ってるのが本当に気にくわない💢

この辺は原作の設定の方の問題ではあるんだけど、こういうのってまだ漫画ならそういうドSキャラとして受け入れられなくもないかもしれない(僕には無理)けど、これを実施で生身の人間にやらせると、より生々しさが増して余計に不快に感じてしまう。
だから、これは実写化しちゃいけない作品なんだよ!何で自分から原作の欠点をより強めちゃうような実写化をやるのか理解できない。

この主人公の不快なキャラは置いておいてもダメなところが多すぎる。

特に演出面でのダメさが目立ちすぎる。
作中5,6回ほどテレビアニメのCM前後のアイキャッチみたいなのを入れてくるけど、これが本当にダサい。何のためにこんなのを入れたんだ?

それと何故か話を4章構成にして、2章〇〇とかいちいち入れてくるけど、これも意味がわからん。
せめてそれぞれのエピソードが単体で起承転結のあるオムニバス形式の作品ということならまだ納得できるけど、それぞれの章に全く起承転結がなく、全ての話を繋げてかろうじてあるかどうかすら微妙なレベル。

そのストーリーも漫画実写化ではお馴染みの原作を読んでなくても透けて見えるダイジェスト感丸出しの雑な構成。
とりあえず話を詰め込んだだけで細かい所を全く考えてないから所々がガタガタ。
例えば、第2章に入った直後にいきなり優羽が何故かいきなり引越しをしていて、その理由もちゃんと説明しないし、しかも引越しのトラックが家の敷地内に入っているのに、何故か優羽の荷物だけ家の敷地の外に積まれてるという意味不明な状況になっている。
何?優羽は親にすら虐められてるの?
これをやった理由は明白で、伊藤健太郎演じる和真と出会うきっかけを作るためだけに何も考えずにやったから。原作ではどうなってるんだここ?

この和真というキャラもナルシストじみたキャラが見ていてキツイし、凛とのライバルとして釣り合うようなキャラとは言い難い。もう優羽がカノジョ(仮)になったあたりからただの友達程度の存在になってるし。

他の幼馴染2人も正直特に必要のないようなキャラで、4人が同じマンションのすぐ隣の部屋に住んでるという状況を全然活かしてない(ていう2章の時点でその状況すら壊れてる)。
それに、この2人にはそれぞれのストーリーというものがほぼない凛と優羽の添え物でしかない。
主役4人の(完全には消化しきれなかったとはいえ)エピソードをしっかり描いていた『虹色デイズ』をもうちょっと見習ってほしい。

結局、他のキャラの扱いから分かるようにこの作品は凛と優羽が全ての中心であり、他の人物はおまけのような存在でしかない。
クライマックスの流星のシーンがまさにこの2人だけがこの世界の中心にいる事を表している。

役者陣の演技は基本的に全員下手。演技力にも問題はあるが、そもそも演出や演技プランが酷すぎるから役者陣だけのせいではないが。

とにかく、原作の問題もそれなりにあるとは思うが、ここまでいい所なしの映画は久しぶり。今年のスイーツ映画の中ではワーストの『ママレード・ボーイ』もこれに比べればまだマシにだったような...。
佐藤祐市監督は『累』が今年の実写化の中でもベスト級の1本だっただけに非常にがっかりである。
今後『累』がまぐれ当たりの1本だったと言われない事を願う。
ヨッシー

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