モウドクウサギ

カメラを止めるな!のモウドクウサギのレビュー・感想・評価

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
4.6
どんな作品もネタバレされずに観る方が楽しめるのは言うまでもないが、今作ほど一切の情報を遮断して観に行くべき作品はないだろう。映画が、特にB級映画が好きな人、映画などのエンタメ作品に携わった/作ったことがある人、仕事で本心を押し殺して働いている人は見て損はないはずだ。以下、ネタバレではないが、やや今作の構造に触れる。

映画のDVDとかを借りて観たことがあれば、誰しもメイキングの楽しさはよく知っているだろう。今作は、ワンカットのゾンビ映画というレイヤーの下にある、メイキングたる作り手の苦労話を物語のベースとして射程を伸ばしつつ、監督の思いが重層的に練りこまれている。舞台挨拶でも話していたが、役者陣は無名な方々ではあるが、凄まじいキャラ立ちをしており、それは魅せ方の巧さに加え、恐るべき脚本の作り込みによる賜物だろう。さらにさらに、今作の真・ラスト、エンドロールの中、映し出される映像から、映画の❝作りもの❞故の奥深さを教えてくれる。公開館数が限られているが、万難を排してでも観に行くべきだ。
ゾンビメイク割をやっている劇場に行くなら、猛者になってはいかがだろうか?