次男

カメラを止めるな!の次男のレビュー・感想・評価

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
4.4
「もう世間の高評価聞き飽きたしうるせえ!」って思って観に行った天邪鬼僕ですが、笑って泣いて最後はこっそり拍手までしちゃって、どうしよこれ批判したくてもできないっすよ!最高に面白かった。

ぎちぎちの劇場は、きっと前評判に釣られた客ばかりで、上から「どれどれ」って観に来ただろうに、時間が経つごとにどんどんと沸いていく、映画が心掴んでいく。みんなで笑った。「どれどれ」っていう同じスタート地点にいたみんなが、この無名の作品にヤラれるのを楽しんでいくみたいな、素敵な時間だった。




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ネタバレ
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伏線を張り巡らせ回収するために多くの要素を割いてしまう映画は多いけど、この映画はそういう意味で非常にコスパが良かったと思う。

不本意な仕事に甘んじるディレクター。をどこか軽蔑する娘。調子に乗る俳優。仕事の質に対して軽薄なプロデューサー。多くのキャラクターがとても記号的で、悪く言えばどのドラマも既視感だけど、良く言えばこっちで補完できる程度にベタだから、1言ってくれれば5までのドラマは脳内で補填してた。

前半30分の張り巡らせパートも、仕組みとしてはやりたいこと逆算だから伏線を紡ぐのが難儀というわけではないと思うけど、数が絶妙。堂々と見せてたし、予測不能じゃないはずなのに、予測してたはずのいくつかで笑ってるうちに次々と次の回収が襲ってきて、次第にもう先回りするのも面倒になって、笑い続けちゃう。

…まあ、こんな感想は言うは易しという自覚もあるし、実現することが大儀だから、やっぱりこの映画は間違いなく素晴らしい。

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中の意味でも外の意味でも、「こんな仕事が一生で一度できたら」って、本当に思うなあ。
ときどき、ベテランのスタッフさんが、ぜんぜん当たらなかった昔の映画のことを楽しく話してくれることがあるけど、きっと「こんな仕事」だったんだと思う。

僕だけじゃなくてたくさんの観客がそう思ってただろうし、この映画の中の監督も、この映画の監督も、そう思ってただろうなあ。いいなあ。羨望が止まらない。
こんな仕事、一生で一度でも、できたらなあ。
次男

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