骨折り損

カメラを止めるな!の骨折り損のレビュー・感想・評価

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
4.5
完膚なきまでに打ちのめされた。
初めてかもしれない、素直に敵わないと思った自主映画に出会ったのは。
直球で面白い。
意味不明なことをして芸術だ、なんて逃げは一切無い。
誰もが楽しめる面白さの振れ幅だけでストレート一発K.O.。

少し下手な役者の演技、違和感のある間、前半のワンカットのシーンで感じる違和感が本当に丁度いい。全てが伏線なのだが、度を越すとわざとらしく、控え目だと気づけない、そのちょうど間の良いところを突いてくる。この絶妙さだけで涙が出るほど感動した。どうしたらこんなに上手くできるのか。

最初はクスクスだった笑いが綺麗すぎる構成で見事に右肩上がりに笑いの量が増幅していく。そして気づけば劇場が爆笑の渦に。
教科書のような映画的な笑いで楽しめる中、業界への皮肉、社会的メッセージも上手に盛り込んでいてもう全部の要素が満点過ぎてギィヤァアアアアアって感じ。

キリがないほど褒める所だらけ。
ただ満点じゃないのは本当に個人的な好み。個人的に映画を見る時はカッコいい映像とかスタイリッシュさも欲しくなってしまうのでそういう点では満点ではない。まあもちろんこの作品にスタイリッシュさなんてなくてもいいのだけれど。

とにかく、予想をはるかに超えた面白さがそこにはあった。
日本映画界の希望だ。
骨折り損

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