Remy

カメラを止めるな!のRemyのレビュー・感想・評価

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
3.3
一般に、劇中劇をやるのは難しい。多層的な世界間の行き来が必要になり、グダりやすいからだ。にも拘わらず、誰もが一度はやってみたくなるのが劇中劇である。この作品は、更にもう一段重ねた「劇中劇中劇」を展開する。

出来損ないの三谷映画と言うことも出来るだろう。だが、低予算の中ここまでやってのけた。観客を笑わせた。それ自体が評価されるべきだと思う。B級感あふれる前半をひっくり返して、後半でなるほど見事と思わせる。観客の乾いた笑いが、止まることのない自然な笑いに変わって行く様は、痛快ですらある。

観ながら、高校時代に参加した自主制作映画の記憶が蘇った。もはやプロットさえ思い出すことが出来ないのだが、空の高い秋の日に目黒のスタジオで撮影を断行したのを今でも覚えている。自分は、主人公に何か意味深長なメッセージを伝える青年役を演じていた。登場シーンは一瞬なのに、スタジオ代の割り勘が高くついて、騙された気分になったのも懐かしい思い出である。結局、完成作品を観ることはなく、さんざんな講評だけを目にすることになった。文化祭に来た両親からは、前衛的すぎて意味が分からなかったと言われた。監督が持ち前の天才性を発揮したのだろう。1年遅れで監督が大学の下クラに来たというオチまでついている。

この映画は青春映画なのかもしれない。ふとそう思った。
Remy

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